(4)特定保健指導 倉敷中央病院付属予防医療プラザ保健師 松岡千明

松岡千明氏

 「自分の健康は自分で守る」―。それをサポートするのが、私たち保健師や管理栄養士です。特定保健指導は、特定健診の結果から生活習慣病のリスクが高かった場合に、生活習慣の改善でそのリスクを少しでも低下させることを目的としています。

 当プラザでは年間約1万9千人(2020年度実績)を対象に特定健診を実施しています。そのうち1割が特定保健指導の対象です。実際に、指導を受けた人の7割に体重の変化があり、6割は食事・運動習慣の改善につながっています。

 「特定保健指導」と聞くと、「続かないし、結果もでないから話も聞きたくない」「どうせ怒られる」とマイナスなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか? 私たちはまず、対象者自身の生活を振り返ることを大切にしています。

 「テレビで良いと言っていた」からと、急に偏った食事になってしまう人や過度な運動を始めた人はいませんか? すぐに結果が出ないからと、早い段階で諦めたことはありませんか? なぜ、取り組みが続かなかったのか、良い効果が出なかったかというと、ご自身の生活スタイルには合わなかったことが原因と考えられます。

 偏った知識やそれによる失敗体験があると、次への一歩がなかなか出せないと思います。それを繰り返さないためにも、個々に合った改善方法を考え、取り組むほうが効果的で負担も少ないかと思われます。

 一人ひとり生活が違えば、これまで歩んできた環境も異なります。そのバックボーンをもとに、今の生活を一緒に振り返り、優先すべき健康課題を表面化させていきます。普段の生活を振り返る機会はあまりないと思います。何を、どう始めたらよいのか、対象者となる方の将来像を具体的にサポートしていきます。

 当プラザでは全国に先駆けてAI(人工知能)を使った生活改善シミュレーションを保健指導に取り入れています。過去の健診結果から得られた傾向をもとに、将来の健康状態を予測します。生活習慣を改善することにより、どのような数値変化をたどるのかを、視覚的に確認できます。対象者の方からは「とても分かりやすい」という声も聞かれ、たいへん好評です。

 時間に追われる現代社会だからこそ、「特定保健指導」は、実際に立ち止まり、生活を見つめる良いきっかけとなります。また、痩せることが重要なのではなく、自身の生活と健康を結び付け、気づきを得ることが大切です。そうポジティブに考えていただければ、生活を変えていくことも始めやすくなるのではないでしょうか。

 私たちは、皆さまが健康で楽しく過ごせるためのサポートをさせていただきます。



 倉敷中央病院(086―422―0210)

 まつおか・ちあき 川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科卒業。看護師、保健師資格取得。2015年、倉敷中央病院に入職しNICUにて勤務。翌16年より行政機関にてさまざまな世代を対象に地域保健に携わり、18年4月より現職。

(2021年09月20日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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