(7)先の見えない自粛生活~コロナ禍におけるフレイルを予防するための運動と栄養 倉敷スイートホスピタルリハビリテーションセンターセンター長 藤田慎一朗、栄養管理科主任 後藤京子

藤田慎一朗氏

後藤京子氏

 新型コロナウイルス感染拡大により、高齢者向けのイベントは軒並み延期・中止となり、日課の散歩や買い物、友人との交流などを自粛している方も多いのではないでしょうか。日常生活の変化により「動かないこと(生活不活発)」が増えるため高齢者の健康への影響が危惧されます。その代表がフレイル(虚弱)になります。

 フレイルとは加齢に伴う心身の活力が低下した状態で、健康と要介護の中間的な段階をさします。フレイルは早期発見、早期介入によって再び健康な状態に戻ることができます。まずは、ご自身のフレイル度をチェック=表1=し、予防のための運動(特に筋力の負荷運動)を実践し、継続させることが重要です。

 栄養状態が悪くなると筋力・運動量低下につながりフレイルを加速させてしまいます。フレイル予防の食事のポイントはタンパク質を積極的にとることです。

 1日のタンパク質の摂取量は、体重1キロ当たり1グラム以上が望ましいと言われており、体重60キロであれば1日60グラム以上を目指します。これを朝昼夕3食で割ると1食当たり20グラムになります。食品に含まれるタンパク質量=表2=を参考に摂取するようにしてください。

 痩せすぎや肥満、持病のある方は主治医や栄養士にご相談ください。一度にたくさん食べられない方は、1食の量を減らして、間食にプリンや乳製品をとり入れる、無理なく続けるためにみそ汁に卵や豆腐を入れる、白飯にシラスやカツオ節をかける、コーヒーに牛乳や豆乳を入れるなどのプラスワンもお勧めです。タンパク質以外にもカルシウム、ビタミンD(キノコ類・魚類・卵)もフレイル予防の鍵を握る栄養素です。大切なポイントを知った上でご自身に合った食事内容にしていくことが毎日の継続には大切です。

 コロナ禍の中でもできる、健康を維持するための運動と栄養についてお話させていただきました。どのような運動が良いかに関しては「YouTube」内で、「倉敷スイートホスピタル リハビリテーションセンター」が作成した「フレイル・サルコペニア予防のための筋肉量コツコツ積み上げ体操」の動画をご覧いただけます。適度な運動とバランスの取れた規則正しい食事を心がけ、いつまでも元気で健康な人生が送れることを願っております。



 倉敷スイートホスピタル(086―463―7111)

 ふじた・しんいちろう 倉敷青陵高校、宮崎リハビリテーション学院卒。三財病院、倉敷広済病院を経て2012年から倉敷スイートホスピタル勤務。19年より現職。3学会合同呼吸療法認定士、地域ケア会議推進リーダー、骨粗鬆症マネージャー、日本リウマチ財団登録理学療法士。

 ごとう・きょうこ 啓明学園高等学校、多摩調理師専門学校、八王子栄養専門学校卒業。医療法人社団光生会平川病院栄養課、社会福祉法人山の子会山の子の家栄養部を経て2017年から現職。調理師、管理栄養士。

(2021年09月20日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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