小児コロナ感染 注意し健康観察を 川崎医福大・尾内特任教授に聞く

「子どもが自宅療養する場合、周囲の大人が注意深く健康観察を」と話す尾内特任教授

 新型コロナウイルスの流行「第6波」の到来が懸念される中、ワクチンが打てず「第5波」で感染が広がった子どもへの対策が課題となっている。日本小児感染症学会理事長を務める尾内一信・川崎医療福祉大特任教授は「年齢制限でワクチンが接種できない12歳未満を標的とし、子どもの間では第5波より感染が拡大する可能性もある」と指摘。「2歳未満は重症化リスクが高い。自宅療養する場合、周囲の大人が注意深く健康観察を」と訴えている。

予防

 子どもは大人より感染しにくいとされてきたが、感染力が強い「デルタ株」の広がりで状況は変わった。第5波では、岡山県内でも保育施設や学校などでクラスター(感染者集団)が続発した。

 特に気を付けなければならないのが2歳未満の子どもだ。免疫力が十分に備わっていないためで、生後6カ月未満の乳児はさらに注意が必要となる。だが、乳児にマスクを着けてもらうのは難しいし危険でもある。日本小児科医会は、窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがあるとして2歳未満にはマスクを着用させないよう呼び掛けている。

 感染予防には周囲の大人の行動が重要だ。ワクチンを接種するとともに、予防効果が高い不織布マスクを着用。手洗いや玩具の消毒も徹底してほしい。

体調変化

 子どもが感染者または濃厚接触者となり、自宅で過ごす場合、保護者は体調の変化に気を配ってほしい。恐ろしいのは顕著な症状が伴わず、血中酸素濃度が低下する「ハッピーハイポキシア(幸せな低酸素症)」と呼ばれる状態。小児でも報告されている。

 保健所から貸し出されるパルスオキシメーターで小まめに血中酸素濃度を測り、95%以下になれば、すぐに医師や保健所に相談を。水分摂取は十分か、首回りや胸がへこむ陥没呼吸、多呼吸になっていないかも確認。呼吸数は1分間で乳児50回、幼児40回、小学生20回を上回ると異常と判断する。

看病

 同居する家族全員が感染者でない限り、子どもの発症から10日間は家庭内感染に注意する必要がある。看病は、可能ならワクチンを接種しており、より若く基礎疾患がない家族の1人に限定すべきだ。幼いきょうだいがいる場合は、2メートルの距離を保つよう気を付けてほしい。

 感染した子どもが療養するエリアは限定する。触れた物の消毒と1時間に6分程度の換気を。看病する家族は不織布マスクを着用し、小まめに手洗いする。便にもウイルスは含まれるため、おむつは二重のビニール袋に密閉して捨てる。トイレでできる年齢の場合は、ふたを閉めた後に水を流して掃除する。衣服は通常の洗濯で感染力はほとんどなくなるとされている。

(2021年11月21日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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