(4)家事代行サービス―庭の剪定作業― 万成病院多機能型事業所ひまわり主任 同前伶一

依頼者宅に赴き、庭木の剪定などをする利用者たち=2022年3月

同前伶一氏

 ■社会への貢献

 多機能型事業所ひまわりは、万成病院が運営している障害福祉サービス事業所です。誰もが暮らしやすい町づくりを目指して、地域の方とさまざまな協働活動に取り組んでいます。

 「地域の役に立てる!」。そんな貴重な体験を重ねることで、障害によって失われた自尊心を取り戻すことにもつながっています。

 ここ2年のコロナ禍で人と人との交流が制限され、活動も中止を余儀なくされています。そのような状況の中でも、継続できている協働活動が「家事代行サービス」です。

 ■家事代行サービス

 1人暮らしをされている高齢者が増え、ゴミ捨てや庭の管理が難しくなっていると、地域から声が挙がりました。この声から生まれた協働活動の一つが、「家事代行サービス」です。サービス開始に向けて町内会の回覧版にチラシを同封し、民生委員の方には各家庭の訪問時に紹介していただき、協働で作り上げたサービスです。

 庭の剪定(せんてい)作業、ゴミの回収、電球の付け替え、買い物の代行、話し相手などのサービスを提供しています。ご依頼のあった自宅に出向き、依頼内容に沿った家事を代行しています。「仕事として責任を持って取り組んでもらいたい」との地域の方からの声を反映し、ボランティア活動ではなく、ひまわり利用者の仕事として請け負っています。

 依頼内容で多くなっているのが、庭の剪定作業です。依頼された方からは「いつもきれいにしてもらえてうれしい。また頼みたい」「料金も安くて助かる。他の人にも教えてあげたい」「自分の家に、知らない業者を呼ぶのは怖い。ひまわりだから安心して頼める」等のうれしい声が届いています。また、作業現場を見た地域の方から、「いつも作業を頑張っておられる。中腰で大変だと思うから」と、手作りの作業椅子をプレゼントしていただいたこともありました。

 ■コロナ禍での取り組み

 コロナ禍の現在、「家事代行サービス」は、屋外でのみの実施とし感染対策を守りながら継続しています。利用者数名とスタッフでチームを組み、庭の剪定や草むしりなどの作業に取り組んでいます。

 コロナ禍においては社会とのつながりも薄くなりつつあります。作業の合間には、依頼者の方と、ちょっとした世間話をすることがあります。遠く離れて暮らすお子さんのことや、ご自分の終活について冗談交じりに話してくださいます。丁寧な作業を提供することはもちろんですが、高齢者が孤独になりがちな現在、短い時間でも笑顔が増えることを大切にしています。

     ◇

 万成病院(086―252―2261)

 どうぜん・れいち 川崎医療福祉大学卒。旭川荘厚生専門学院卒。2013年万成病院入職。同年、多機能型事業所ひまわりに勤務。精神保健福祉士。

(2022年04月04日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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