倉敷市立市民病院の赤字幅拡大 20年度決算、受診控えなど響く

倉敷市立市民病院

 倉敷市は、市立市民病院(同市児島駅前、旧市立児島市民病院)の2020年度決算をまとめた。新型コロナウイルス感染症の影響で不急の手術の延期や受診控えなどにより総収益がダウンする一方で、人件費などの増加が総費用を押し上げ、3年ぶりに赤字幅が拡大。赤字は5年連続となった。

 総収益は36億7061万円で19年度比1・0%減。これに対し総費用は37億8061万円で0・9%増え、純損失は1億1千万円(19年度3973万円)となった。同病院の改革プラン(17~20年度)で示した20年度の目標(純損失2億6680万円)はクリアし、赤字幅を1億5千万円以上も抑えた。赤字は一般会計からの繰入金などで補った。累積欠損金は37億9648万円。

 総収益のうち、外来や入院などの医業収益は12・2%減の29億3739万円。1年間の延べ患者数は、外来が11・0%減の9万8988人、入院は21・6%減の4万4360人。外来、入院とも、ほぼ全ての診療科で減少した。病床利用率は16・6ポイントダウンの61・4%にとどまった。

 入院患者1人の1日当たりの診療収入は、病棟の編成などの見直しにより7・0%増の4万951円で、改革プランで掲げた20年度の目標(3万4783円)を上回った。外来患者の診療収入も7・5%増の8461円で目標(8023円)をクリアした。

 総費用では、コロナ対応従事者への慰労金が計上されたことで特別損失が6440万円増加。材料費などの医業費用は患者数減少に伴い薬品代も減り、0・4%減の35億7581万円だった。

 市民病院は21年に、同年度から5年間の新しい改革プランを作成。経営健全化に向け、病床利用率や診療収入などの数値目標を設定し、24年度以降の黒字化を見込む。同病院は「市立病院の責務として救急搬送患者の積極的な受け入れを行いながら、地域医療機関との連携により入院患者を増やすなどし、目標達成につなげたい」としている。

(2022年04月10日 更新)

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