(7)あなたの骨粗鬆症 そのタイプを調べていますか 天和会松田病院副院長・整形外科医長 松田和実

松田和実氏

 骨は1年365日毎日代謝を繰り返しています。ですから折れた骨が自然にくっついたり、使わないと痩せてきたりということが起きるわけです。

 超高齢社会となったわが国において、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という疾患はみなさん誰もが耳にする病名となっています。

 特に女性は20代後半をピークとして、加齢とともに骨量は低下し、閉経期以降は急激に落ちていきます=グラフ。もちろん、遺伝性の影響もあるのですが、人として避けて通れない道なのです。もちろん男性も50歳を過ぎれば緩やかですが低下していきます。また、肝疾患があったり、糖尿病やその予備軍であれば、骨粗鬆症のリスクはより高くなります。

 そこで、女性の場合は基礎疾患のない方は45~50歳の時点で一度、男性の場合も60歳くらいで一度は骨粗鬆症の検査を受けられることをお勧めします。

 その際、現在では一般的となった骨塩定量装置(DEXA)を使って、できれば腰椎と大腿骨(だいたいこつ)で測定し、骨の見かけ上の強さ(建物で言えば外観の状態)を調べてください。

 そして今回理解していただきたいのは、骨の質の検査(建物で言えば中の鉄骨や鉄筋の性状)を調べておくことが非常に重要であるということです。

 これを調べることによって骨粗鬆症をどうやって治療していくか全く違ってきます。

 詳しく話せばキリがありませんので簡潔に説明します。

 まず(1)は、Ca(カルシウム)の濃度を調べます。Caは少なければ骨を作る材料が足りないということなので補う必要があります。ただ多過ぎても腎臓に負担がかかるので注意が必要です。定期的に検査をしてもらいましょう。

 治療薬に関しては活性型ビタミンDやビタミンKなどがありますが、個々に特徴を把握したうえで処方していただいてください。

 次に(2)は、男性女性によって使用できる薬が異なるということです。男性には閉経に伴う骨粗鬆症というものが無いため治療薬は決まってきます。そこで骨粗鬆症のタイプ分けが非常に重要となります。

 (3)―1 骨の壊れる速度が再生するより早い「高回転型」

 (3)―2 骨の壊れる速度は速くないが、再生する能力が乏しい「低回転型」

 (3)―3 代謝の低下した、いわゆる加齢に伴う骨粗鬆症

 以上の三つに分けられます。その鑑別は骨代謝マーカーを調べ、高回転型か低回転型か、または加齢に伴う単純なものか判断し治療薬を選択していきます。

 この治療薬にはおのおの特徴があり、使用法を誤ると逆に骨がもろくなったり、骨折を悪化させることがあり、副作用も注射製剤や内服薬とおのおのの薬で出て来ますので、主治医の先生とよく相談のうえ治療法を選択しましょう。

 正しい検査・診断と治療で、骨折や痛みの少ない豊かで快適な中高年ライフを送りましょう。

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 天和会松田病院(086―422―3550)。連載は今回で終わりです。

 まつだ・かずみ 倉敷青陵高校、川崎医科大学卒業。1994年1月より天和会松田病院に勤務、現在副院長・整形外科医長。日本整形外科学会整形外科専門医、同学会認定スポーツ医、脊椎・脊髄病医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本抗加齢医学会専門医。

(2022年07月18日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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