梅毒感染 最多ペースで増加 岡山県、若者向け啓発動画制作

梅毒の特徴や予防法を伝える動画の一場面

 全国的に増加傾向にある梅毒の感染者が岡山県内でも増えている。県によると、2022年の感染者数は、9月下旬時点(第38週)で141人に上っており、年間190人と過去20年で最多だった19年同期と同数に。感染拡大の明確な原因は分かっていないが、県は感染が多い若い男性を主なターゲットに、予防を呼びかける啓発動画を新たに作り、注意喚起に力を入れている。

 主に性行為で細菌「梅毒トレポネーマ」が体内に入って発症する。早期に薬を投与すれば完治するが、放置すれば臓器に影響を及ぼすほか、妊婦が感染すると死産や乳児の病気につながる恐れがあり、何度でも感染する。国立感染症研究所によると、全国の感染者数は9月中旬時点で8746人。最多だった21年の年間7978人を超え、同1万人に達する勢い。

 県内の感染者数の内訳は男性101人、女性40人。男女とも20代が最も多く、30代、40代までで大半を占める。感染経路は、不特定多数との性行為が多くなる性風俗店関係が半数以上を占めるとみられる。

 こうした状況を踏まえ、県は今春に制作した啓発動画に加え、新たな動画を作った。梅毒の特徴や予防法を解説する「サヨナラ梅毒」で、動画投稿サイト・ユーチューブで公開している。梅毒トレポネーマの「バイどん」と、タレント相田翔吾さんが軽妙な掛け合いで注意を促す全4話。第1話は「不特定多数との性行為は感染リスクが高まる」などと訴える。

 第2話以降では、保健所や医療機関が無料・匿名で行う検査、妊婦らが感染した際のリスクなどを紹介。避妊具を活用した予防法は4話全てで強調している。ユーチューブや各種SNS(交流サイト)にアクセスした20~50代の男性向けに、広告として表示されるようになっている。

 県健康推進課は「梅毒は昔の病気というイメージをもたれがちだが、状況は深刻。予防法や検査を広く伝えたい」としている。

(2022年10月21日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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