ワクチン接種進め重症者減らそう 川崎医科大・大石教授が訴え

「医療逼迫回避のためにワクチン接種を」と呼びかける大石教授

 新型コロナウイルス感染症の急拡大により、岡山県内でも流行「第8波」が現実のものとなってきた。川崎医科大(倉敷市)の大石智洋教授(感染症学)は「伸び悩んでいる3、4回目のワクチン接種者を増やして重症者を減らすことが、医療逼迫(ひっぱく)の回避につながる」と訴える。

 ―今後の感染動向の見通しは。

 現在の陽性者は、オミクロン株の派生型「BA・5」が主流。これまでに県民の16%に当たる30万人余りが感染しており、免疫を獲得した人の割合が増えている。今夏の第7波のときほど感染者数が急速に拡大することはないだろう。しかし、年末年始の帰省や旅行で人の流れが増えることで爆発的な拡大となる恐れもある。

 ―季節性インフルエンザの流行も警戒されている。

 ここ2シーズン、インフルエンザの感染者が減って集団免疫が低下しており、今シーズンの感染者数は増えるだろう。ただ、インフルエンザはオミクロン株より感染力が低く、手洗いやマスクの着用などコロナの基本的な感染対策を続ければ十分に予防できる。ワクチンの接種も重要だ。

 ―同時流行した場合、医療機関の逼迫が懸念される。

 コロナとインフルエンザは発熱やせきといった症状だけでは区別できず、医療機関は両方を想定して検査しなければならない。発熱などがあれば、インフルエンザ患者であっても診察にガウンの脱ぎ着や患者の隔離など感染対策が伴い、多くの時間や手間を要する。患者数が増えると、一般診療に影響するかもしれない。

 ―発熱などの症状が出たときはどうすべきか。

 高齢者、妊婦といった重症化リスクが高い人はすぐに受診し、そうでない人は抗原検査キットを活用してほしい。コロナに対しては解熱剤など対症療法しかない。薬を求める人が医療機関に殺到すると、リスクが高い患者が受診できない恐れがある。リスクが低い人は普段から検査キットや解熱剤を準備し、症状が出たら感染状況を自分で確認や対処ができるようにしてほしい。

 ―一般市民に求められる感染対策は。

 マスク着用と手洗い、換気といった基本的な対策が引き続き重要だ。冬場で暖房を使う場合でも、1時間に1回、5分程度は換気してほしい。コロナワクチンの接種は3回目が約66%、4回目は約36%に低迷している。インフルエンザワクチンと合わせて接種すれば、受診が必要な人を抑えられる。医療逼迫を防ぐためにも積極的に検討してほしい。

(2022年11月17日 更新)

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