(6)救急外来 倉敷中央病院小児科医員 石塚潤

いしづか・じゅん 大阪府立四條畷高、京都大卒。倉敷中央病院ジュニアレジデントを経て、2010年4月から現職

 今回は、救急外来のお話です。お熱が出た子、おなかが痛い子、息が苦しい子などしんどいこどもたちがやってきます。こどもの森の小児科医は、どんなところに注意しているのでしょう。

息が苦しい子は
要注意!!

 喘息(ぜんそく)、アレルギー、肺炎などさまざまな理由でこどもたちは息が苦しくなります。息が苦しい状態が続くと、酸素が足りなくなって、酸欠になってしまいます。息苦しさを良くしてあげるためには、森の救急での治療が必要です。では、何を注意してみてあげればいいのでしょうか。

 肩で息をしている、喉や胸の辺りをへこまして息をしている、ひゅーひゅーぜぇーぜぇーいっているような場合には森の救急にやってきてください。唇が紫になる、唾が飲み込めない、どんどん息苦しさが悪くなっていく場合には、救急隊の方々の力が必要となるでしょう。

 一方で、森の救急へでかける途中に急によくなってくれることがあります。すやすや寝ていたり、しっかり飲めたり、食べたり、笑ったりしているようであれば、しばらくは家でゆっくり休ませてあげてもいいかもしれません。

 こどもたちの症状は刻一刻と変化していきます。よくなっていくようであれば、森の病院で怖い病気をもらわないようにするのもひとつです。逆に状態が徐々に悪くなってくるようであれば、すぐに森へやってきてください。小さなこどもたちは、息が苦しいようなんていってくれません。だから、周りの大人たちが息苦しいのに気づいてあげましょう。

わからないことは
いっぱいある!!

 こどもの森の小児科医にもわからないことがたくさんあります。救急外来へやってくる一番の理由は熱です。風邪であったり、インフルエンザであったり、おなかの風邪であったりとさまざまな理由で熱がでます。ウイルスが悪さをしている、あるいはばい菌が悪さをしているなどの原因がはっきりすることは少なく、はじめはよくわからないことが多いのです。

 そんなときに私たちができるのは、喉が赤いから喉のお薬を出したり、咳(せき)がひどいから咳止めをだしたりと、目に見える症状を抑えてあげることです。時には抗生物質という武器を使って、ばい菌と戦うこともありますが、ウイルスにはまったく効果がなく、こどもたち自身の免疫力で戦うしかありません。

 頑張って戦うためには、しっかりと栄養をとって、安静にして体を休めてあげなければなりません。熱が高いと体力が失われてしまうので、熱さましをつかったりします。アイスノンでクールダウンすることも有効です。お薬には使う回数に制限がつきますが、アイスノンは何回でも使えます。こどもたちはたいてい嫌がりますがね。

 原因がはっきりとわからなくても、こどもたちの表情(すこしでもにこっとしてくれたらまず大丈夫)や反応(森の病院ではたいていは怖がって泣きますが、泣く元気があれば大丈夫)で大丈夫かどうかを判断します。わからないからこそ、今は良くてもその後に起こるであろう怖いお話をして帰ってもらうこともあります。しかし、みんなの思いはひとつで、病気でしんどいこどもたちが元気に笑ってくれるようになればそれが一番です。それを支えに一日中、森の救急でわたしたち、こどもの森の小児科医はがんばっています。

(2012年08月27日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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