子宮・卵巣って「どうなっとん」 助産師と技工士が性教育用に模型

「かわいらしさ」をコンセプトに製作した子宮・卵巣模型「DOUNATTON」

製作過程を記録した動画を見る高田さん(中央)と協力した歯科技工士の4人

 中高校生らに性教育を行う倉敷中央病院(倉敷市美和)の助産師高田鼓さん(40)は、院内の歯科技工士と協力し、子宮・卵巣模型「DOUNATTON(どうなっとん)」を製作した。市販品は見た目がリアルで、子どもたちの関心が低かったことから開発を決意。義歯の加工技術を駆使し、模型全体に丸みを持たせたほか、卵管の先を花びらの形にするなど「かわいらしさ」「親しみやすさ」を前面に打ち出している。

 手のひらサイズの模型は持ち運べるよう木製の台座(縦約10センチ、横約20センチ、高さ約14センチ)に備え付けた。子宮や卵巣、膣(ちつ)、外陰部など七つのパーツで構成し、それぞれの原型をシリコーンで型をとり、入れ歯などに用いる歯科材料で作った。

 付属品として、プラスチック棒の先端に精子や卵子モデルを取り付けたものや、羊水に浮かび拳を握って眠る愛らしい胎児を用意。妊娠から出産までの流れを実際に手で動かしながら説明できるよう工夫している。

 高田さんは粘土を使って自作したものの、子宮のなめらかな曲線加工が難しかったという。医療者側のアイデアやニーズを製品化に結び付ける院内の専門部署に相談したところ、歯科技工室を紹介され協働が実現した。

 歯科技工士4人が協力し、義歯作りで培った型取りや研磨技術を活用し、課題だった曲線の表現に成功。パーツ同士の継ぎ目が目立たないよう試作を繰り返し、約3カ月で完成にこぎ着けた。

 思春期保健相談士の資格を持つ高田さんは、中高校生や入院する子どもたちと性教育で接する機会が多い。「親しみを持ってもらうため、色味も柔らかいピンクで仕上げた。女性の体は『どうなっとん』と思っている若者たちの疑問に答えたい」と話している。

 模型は4台出来上がっており、必要に応じて増産する計画。将来的には別の医療機関や学校などからの発注にも対応していく。

(2023年01月19日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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