(6)ジェネリック医薬品について 濱野裕章 開発手順省略、安く提供

濱野裕章氏

 昨年9月から執筆してきました岡山大学病院薬剤部のコラムは今回が最終回となります。最後まで、お付き合いいただければ幸いです。

 「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」と言われて、どのようなイメージを持ちますか? 今までに薬局で、ジェネリック医薬品について聞いたことがある人は、「先発の医薬品より安いお薬で、同等の有効性を持っています」と説明されたのではないでしょうか。実際に、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効性と安全性をもった、通常よりも安価な薬のことを言います。

 今回のコラムでは、ジェネリック医薬品が、どうして今までのお薬より安く処方が可能で、同等の有効性を持っているといえるのか、また、先発医薬品と違いはあるのか、についてお話します。

 ジェネリック医薬品は、主に大手製薬会社が開発した先発医薬品のおよそ20年間ある特許期間が切れた後に製造されます。先発医薬品は、10~20年間の歳月と数百億円以上を費やして開発されるため、これが価格に反映されて高価になります。一方、ジェネリック医薬品は、開発に必要な手順を省略することで、30~60%ほど安く製造することができます。このため、ジェネリック医薬品は、患者さんの金銭的な負担を軽減し、自治体が抱える医療費の削減という問題解決に役立ちます。

 さらに、ジェネリック医薬品には、安い以外にメリットがあります。全ての医薬品に適応されるわけではありませんが、薬が持ちやすい形に変わっていること、用法・用量といった使い方や味が改良されていることもあります。

 一方で、ジェネリック医薬品は製造会社によって品質が異なることがあります。ジェネリック医薬品と先発医薬品の中には、同量の有効成分が含まれています。そのため、有効性や安全性は基本的に変わりません。ただし、添加剤が異なっていることがあります。このような添加剤は、日本薬局方という薬の作成時に参考とする規定によって、有効成分の治療効果を妨げたりする物質を用いないように決められています。患者さんによっては、添加剤が原因でアレルギー反応を起こすことがまれにありますが、これは先発医薬品であっても同様に起こりうるリスクになります。

 最近は「オーソライズド・ジェネリック」と呼ばれるジェネリック医薬品も増えつつあります。これは、先発医薬品の製造会社から承諾を得て、添加物や製法などもすべて同一のものを使用したジェネリック医薬品です。オーソライズド・ジェネリックはすべての先発品に用意されているわけではなく、一目に判断がつきませんので、使えるかどうかは薬剤師に相談してみてください。

 また、構造が複雑で非常に高価なバイオ医薬品において、後続品である「バイオシミラー」も注目されています。バイオ医薬品は構造が複雑なために同一の有効性や安全性を示すことが困難でしたが、医療技術の発展とともに、同等な効果を持ったバイオシミラーが開発されています。

 結論として、ジェネリック医薬品は、同じ有効性と安全性を持ち、安価な選択肢となることが多いですが、品質や使用方法などについては注意が必要です。常に医師や薬剤師と相談し、適切なジェネリック薬を選択することが大切です。

 =おわり

 はまの・ひろふみ 2022年から岡山大学病院薬剤部講師。大学病院薬剤部の薬剤師として病棟・医薬品管理業務の実務経験を経て、医学部の特任助教に就職し、臨床薬理学分野の研究や教育に従事。その後、臨床研究センターの特任助教として医師が実施する臨床試験を支援した実績を持つ。

(2023年03月06日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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