脳神経外科に最新顕微鏡とナビゲーションシステム 岡山市立市民病院導入

脳腫瘍の摘出手術。顕微鏡を使ったり、大型モニター画面を見ながら手術は進められた=6月23日、岡山市立市民病院

岡山市立市民病院が5月に導入した最新の手術用顕微鏡

岡山市立市民病院が5月に導入した最新のナビゲーションシステム

徳永浩司副院長

渡邊恭一主任部長

 岡山市立市民病院(同市北区北長瀬表町)は5月、脳神経外科の手術に使う最新の顕微鏡とナビゲーションシステムを導入した。この二つを連動させると、例えば脳腫瘍ならばその位置を確認しながら腫瘍だけを確実に摘出し、周囲の血管や神経を傷付けることなく安全な手術の実現が期待できるという。徳永浩司副院長(脳疾患センター長)と脳神経外科の渡邊恭一主任部長にその性能や導入の意義などについて語ってもらった。

 徳永 新たに導入した手術用顕微鏡(カールツァイス社製)の拡大率は高く、術野は明るく見え、制振機能が向上して画面の揺れがとても小さくなりました。

 とりわけ外視鏡としても使用できる、というのが大きな特徴です。接眼レンズをのぞき込む顕微鏡では、患部の位置によっては体を曲げた不自然な体勢で手術をしなければならない場合がありました。外部モニターに映像を映し出す外視鏡モードならば、接眼レンズをのぞくことなく頭を上げた楽な姿勢がとれます。4Kの大型画面に、脳の組織や血管の微細な構造を拡大して映し出し、3Dゴーグルを着用すれば立体視できます。術者だけでなく全スタッフが情報共有できるようになりました。手術見学の学生もいますので教育面において非常に有用です。

 渡邊 ナビゲーションシステム(メドトロニック社製)は、外からは見えない脳内部の位置情報を画面に表示してくれるシステムです。手術用顕微鏡と連動させると、あらかじめ登録しておいたCTやMRIの画像情報が、手術中の画像に重ね合わせて表示され、脳腫瘍などの範囲が確認できたり、位置確認のためポインターを追跡してくれたりもします。正常な脳や神経、血管を傷付ける危険を回避でき、より安全に配慮した手術を行えます。

 徳永 手術用顕微鏡の新たな機能に腫瘍観察モジュールの搭載があります。顕微鏡のモードを切り替えると悪性腫瘍の部分だけが赤く光って見え、腫瘍の取り残しの有無を確認できます。血管観察モジュールを使用すると、血流のあるところだけが光って血液が流れているのかどうか、動脈瘤(りゅう)の手術の場合はクリップで瘤への血流が遮断されているのかどうかが分かります。

 今回、さまざまな機能を搭載した新しい顕微鏡が導入され、ナビゲーションと併用することで手術の精度は向上しました。より安全で効果的な治療が患者さんに届けられると考えています。

(2023年07月17日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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