(2)不整脈に対するカテーテルアブレーション 津山中央病院循環器内科主任 山田隆史

山田隆史氏

 当院は岡山県北唯一の不整脈専門医研修施設として治療に取り組んでいます。

 不整脈とは心臓の調律の異常、心拍が不規則になった状態をいいます。不整脈は、脈が速くなる「頻脈」、脈が遅くなる「徐脈」に分けられます。治療の必要が無い不整脈も多くありますが、動悸(どうき)や息切れといった症状を引き起こすもの、心不全や脳梗塞などの合併症の原因になるもの、突然死を引き起こすものには治療が必要となります。

 不整脈にもさまざまな種類がありますので、まずはきちんと診断して病状に応じた治療を選択することが必要です。

 ■カテーテルアブレーションについて

 カテーテルアブレーションとは、アブレーション治療用のカテーテルで不整脈を起こす原因となる異常な電気興奮の発生箇所を焼灼(しょうしゃく)し正常な脈に戻す治療法です。カテーテルアブレーションは不整脈の中でも、脈が速くなる「頻脈」に対して行います。

 ■カテーテルアブレーションの適応となる不整脈

 心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍、心房頻拍、心室頻拍、期外収縮などの不整脈を治療することができます。成功率は不整脈の種類によって異なり、2回以上の治療を要する場合もあります。

 ■心房細動について

 カテーテルアブレーションの中でも近年件数が増えているのが心房細動です。

 心房細動とは、本来は一定のリズムで動く心房が、無秩序に電気活動をしてけいれんしている状態を指します。そのため規則的な脈ではなく、不規則な脈となってしまいます。動悸などの自覚症状で困るだけではなく、脳梗塞や心不全を引き起こし、生命を脅かすこともあります。加齢が最も大きな原因なので、高齢化が進む国内の患者数は増加しています。

 ■心房細動アブレーションについて

 1998年に肺静脈という肺から血液を心房へ届ける静脈に、発生の主たる原因となる部位があると報告されました。それ以来、肺静脈を心房から電気的に隔離することで心房細動を抑制する治療法が飛躍的に発展を遂げました。心房細動の初期段階といえる発作性心房細動であれば非再発率90%と高い成績を挙げています。

 ■心房細動アブレーションの治療法

 カテーテルアブレーションでは、高周波というエネルギーを用いて心臓の筋肉の一部を焼灼する方法=図1、2=と、クライオバルーンというバルーン(風船)の中に冷凍ガスを注入し接触した心筋組織を凍結する方法=図3=と2種類あります。どちらの方法も成績に違いはなく、お互いに異なる強みがありますので、術前の検査で患者さんに最適な方法を当院で選んで使っています。

 ■最後に

 一言で不整脈と言っても、何種類も病名がありそれぞれに治療方針は違います。放置してもいいものもあれば、早急な治療を要するものもあります。早期発見して適切な診察を受けることが大事です。不整脈を指摘されどうしたらいいかお悩みの際は、お気軽に水曜日の不整脈外来を受診してください。

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 津山中央病院(0868―21―8111)

 やまだ・たかし 広島大学医学部卒。姫路赤十字病院、岩国医療センター、湘南鎌倉総合病院を経て2023年から津山中央病院勤務。日本内科学会認定内科医、日本循環器学会専門医、不整脈専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医、リードレスペースメーカー植え込み資格保有。

(2023年11月20日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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