(4)不整脈へのカテーテルアブレーション 心臓病センター榊原病院循環器内科部長 武 寛

武 寛氏

 不整脈とは脈が乱れることを言います。手首の動脈を触ると、脈の乱れを感じることができます。通常は、脈は1秒に1回規則正しく打っていますが、心臓が勝手に興奮して期外収縮が起きると、脈がとびます。また脈が速くなったり、継続的に乱れる場合は、心房細動になっていることもあります。

 心房細動は、心房が不規則に速く興奮するために起こります。心房細動になると、脈拍数が1分間に100~150回となり、動悸(どうき)症状を伴うことが多いですが、健康診断などで自覚症状がなく見つかる場合もあります。

 心房細動になると、心臓内に血栓(血液の塊)ができ、脳梗塞の原因になることがあります。糖尿病や高血圧など生活習慣病のリスクがある方は、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を服用する必要があります。

 心房細動は、生活習慣病と密接に関連しています。運動や食生活の見直しによって、高血圧、糖尿病、肥満が改善され、心房細動が起きにくくなります。また心房細動は、飲酒量が増えると起きやすくなり、飲酒は週に1、2回程度が適量とされています。

 不整脈は、問題が起きる前に対処する必要があります。特に心房細動の場合、脳梗塞で発症すると後遺症が残ることもあり、早期発見が重要です。心房細動で脈が速い状況が続くと、心臓の動きが低下し、むくみが生じたり、心不全を引き起こしたりすることがあります。

 自覚症状がなく不整脈が起きることがあり、血圧測定時の脈拍数が1分間に100以上であったり、脈不整の表示がでる場合は、何らかの不整脈が起きている可能性があります。また最近ではスマートウオッチでも検出されることもあります。

 心房細動を繰り返したり、持続したりする場合は、最近ではカテーテルによるアブレーション治療(心筋焼灼(しょうしゃく)術)が行われることも増えています。心房細動の原因として多いのは左心房にある肺静脈であり、その周囲を焼灼することにより=、心房細動の発生を抑えることができます。元気な方であれば、80代でも治療は可能と思われます。

 また10秒に1回以上、心室性期外収縮により脈がとぶ場合も、アブレーション治療の適応があります。不整脈が出る場所にもよりますが、治療可能なものも以前と比べると増えています。

 不整脈の種類はたくさんありますが、それぞれの病状に応じて、アブレーション治療や薬物治療を選択して、最適な治療を行っています。お困りのことがありましたら当院までご相談いただければと思います。

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 心臓病センター榊原病院(086―225―7111)

 たけ・ゆたか 岡山大学医学部卒。岡山大学病院、心臓病センター榊原病院、群馬県立心臓血管センターなどを経て、2023年から現職。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医。

(2023年12月19日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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