外反母趾治療法 動画に 倉敷成人病センター 大澤誠也整形外科部長

外反母趾の治療説明をする大澤医師

倉敷成人病センターが公開している動画の一部

 倉敷成人病センター(倉敷市白楽町)は、外反母趾(ぼし)の治療に関する3種類の動画を公式ユーチューブチャンネルで公開している。反響は大きく、岡山県外から訪れる患者が増えているという。

 大澤誠也整形外科部長が病気と治療法を解説している。外反母趾は足の親指が「く」の字に曲がり、付け根の関節が外向きに飛び出す病気。患者の約9割は女性。軽度なら運動療法や予防装具などで痛みを和らげることが可能だが、重度の場合は手術が選択肢となる。術後は1週間ほどで痛みが引くが、約2カ月は装具が必要となる。

 大澤医師によると、医学的な見地に基づかず手術が不要と主張する動画があふれているという。「QOL(生活の質)を左右する疾患であり、患者さんの悩みは深刻。医師として正しい情報を伝えなければ」と動画制作を発案した。

 第1弾は「外反母趾を正しく知って正しく治す」(52分20秒)で、昨年7月から公開している。疾病の原因、診断、手術法、症状を改善する装具などを説明している。地元の倉敷ケーブルテレビで同1月に放映した内容をそのままアップした。これまでの視聴回数は約4万件に上る。

 その後、同9月に大澤医師から手術を受けた患者のインタビューを収録した「外反母趾の治療 患者さんの声」(3分20秒)、今年1月に「外反母趾治療の実際 適応と意義」(16分20秒)を公開した。それぞれの視聴回数は約9千件、約2千件。再生回数は伸び続けている。

 同センターが調べたところ、第1弾の視聴者の居住地は岡山県内だけでなく関西や首都圏、札幌や福岡市など全国各地に及んでいる。同センターでは年間40~50件の手術を行っているが、動画の公開以降、静岡や大阪など遠方からの患者が増えたという。

 大澤医師は「生命に関わる疾病ではないので、自分から手術を勧めることはしていない。丁寧な説明を心がけ、患者さん自身が治療方針を選択できるよう努める」と言う。

 大澤医師の外反母趾専門外来は毎週水曜。紹介状なしで受診できる。問い合わせは同センター(086―422―2111)。

 おおざわ・せいや 愛光高校(松山市)、岡山大学医学部卒。2017年から倉敷成人病センターに勤務。医学博士。日本専門医機構認定整形外科専門医、日本足の外科学会認定医、同学会評議員。

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倉敷成人病センターが公開している動画
外反母趾について(YouTube)

(2024年03月04日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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