花粉症の季節 治療法や対策は 岡山大大学院の岡野准教授に聞く

花粉症の対策などを話す岡野准教授

 今年も花粉症の季節がやってきた。環境省の予測によると、岡山県内では今月中旬からスギ花粉の飛散が本格化し、ヒノキも合わせた今年の総飛散量は昨年の1・7倍に上るとされる。岡山大大学院医歯薬学総合研究科の岡野光博准教授(鼻科学)に花粉症のメカニズムや対策について聞いた。

 ―花粉症はどのようにして発症するのか。

 スギやヒノキの花粉が体内に入ると、体が異物と認識し、対抗するための抗体ができる。花粉が再び入ると、この抗体が結合した肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、鼻や目の神経を刺激してくしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを引き起こす。ひどい場合はせきが出たり、頭痛、腹痛を起こしたりすることもある。

 ―西日本では昨年以上の飛散量が予測されている。

 岡山の場合、例年と比べると、特別多くはならないのではないか。ただ、花粉は多く飛ぶ年と少ない年が交互に訪れるので(前年夏の天候が影響して飛散が少なかった)昨年の反動があるかもしれない。5月の連休明けまで要注意だ。

 ―治療法は。

 一時的に症状を和らげる薬物治療と、根本から治す免疫療法がある。薬物治療では、くしゃみや鼻水に効く抗ヒスタミン剤などを毎日服用する。症状が重くなれば、近年は鼻噴霧用ステロイド薬が有効だ。免疫療法は、花粉の抗原を体に投与し、徐々に慣れさせてアレルギー反応を起こさないよう体質改善する方法で、注射と「舌下免疫療法」がある。より効き目があるのは注射だが、痛みや副作用の可能性を伴う。舌下免疫療法は花粉エキスを舌の下に2分間ほど含んでから飲み込む。できれば毎日、3年くらい続ける。

 ―日常生活で気をつけることは。

 外出時はマスクや眼鏡を使い、手洗い、うがいをしっかりしてほしい。花粉が多い日は洗濯物の外干しを避けたり、空気清浄機を使ったりする。食べ物ではヨーグルトに花粉症を緩和する効果がある。鼻腔(びこう)が狭い子どもは影響を受けやすく、一つのアレルギーを抱えると、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などを起こしやすくなる。目をこするなど、かゆみによる身体兆候が出ていないか、保護者はよく注意してほしい。

(2016年02月27日 更新)

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