若乳会 川崎医科大病院長 園尾博司

 徳島大学時代に乳がんグループにいたK先生ががん研究所(がん研)の病理部に国内留学した関係で、1984年に川崎医大に移ってからもがん研病理部のS部長を囲む会「若乳(わかちち)会」に参加することを許された。

 この会は全国各地からがん研に国内留学した若手医師の会であり、まさに日本の乳がん医療を支える血気盛んな優秀な人材が集まっており、会員は当時で50~60人、後に200人に及んだ。

 若乳会には川崎医科大乳腺甲状腺外科の若い連中を連れて参加した。乳癌(がん)研究会(日本乳癌学会の前身)の終わった後の宴会では、全国のつわものたちに川崎医大をアピールするために、自分たち川崎医大の数人が大きな白い「乳」の文字を染め出した真っ赤な30センチ幅のふんどし姿となり、訳の分からない歌を歌いながら踊り、やんやの喝采を浴びた。元気のよい他院の連中も加わった。その後は宴会の定番になり、毎回、大いに盛り上がったことを思い出す。

 若乳会を通じて、全国に多くの仲間ができた。この会に参加させていただいたことは後の日本乳癌学会での自分の活動に大きな影響を与えた。同学会の理事、総会会長、理事長という重要な仕事をさせていただいたのもS部長と若乳会のメンバーのおかげであると、今も言葉に尽くせないほど感謝している。

 何年か前に若乳会は解散したが、当時の仲間は日本各地のリーダーとして活躍し、日本の乳がん医療の発展と患者への貢献を果たし、後輩を育成し、今は現役引退の時期を迎えている。

 若いころ、多少背伸びをして学問に励み、同じ年代の医師たちと交友を温めながら切磋琢磨(せっさたくま)し、診療の進歩にいささかでも貢献できたことは大きな喜びでもある。

(2016年10月14日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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