人工透析装置の生産能力2倍に 協和ファインテック、新興国向け

協和ファインテックが手掛ける人工透析装置

部品を保管する専用工場の倉庫。自動倉庫の稼働後は作業場に転換する

 医療機器など製造の協和ファインテック(岡山市東区金岡西町)は、来春にも人工透析装置の生産能力を2倍に引き上げる。本社敷地内に自動倉庫を新設し、工場内の倉庫を移管。空きスペースに新たな生産ラインを設け、装置の組み立て工程を増強する。国内大手医療機器メーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)で供給しており、新興国向けの出荷増に対応する。

 協和ファインテックは、専用工場(鉄骨一部2階延べ約970平方メートル)で透析装置を生産。血液を循環させるポンプや配管、透析液の濃度計など、自社で設計した部品を組み立て、外部調達した部品と組み合わせて仕上げる。現在は、部品約800種類を保管する倉庫と、部品や本体の組み立てに当たる作業場が半々を占めている。

 工場の隣接地に建設する自動倉庫(鉄骨平屋約300平方メートル)は、コンピューター制御で棚の出し入れができるシステムを採用。一部の天井高を17メートルと高くし、棚を積み上げるスペースを確保する。9月下旬に着工し、来春稼働の予定。

 自動倉庫に部品を移した後、工場内の倉庫スペースは作業場に転換。従来と同規模の組み立てラインを設け、生産能力を現在の年2500台から5千台に高める。投資額は1億5千万円。

 透析装置は、腎臓病患者の血液から老廃物を除去し、水分調整して体に戻す医療機器。食生活の変化などで、東南アジアや中南米で腎臓病患者が増え、透析装置のニーズも拡大。米国の市場調査会社・BCCリサーチ社によると、装置市場はここ数年、年7%のペースで伸びており、2018年は推計188億ドル(約2兆円)となる見通し。

 協和ファインテックは、供給先の大手医療機器メーカーで需要が伸びていることを受け近年、生産体制を増強。本社内の3カ所に分かれていた部品と本体の組み立て工程、倉庫を集約し、昨夏、専用工場を稼働させたのに続き、一段の設備増強に取り組む。

 5年後には売上高(17年2月期は約29億円)に占める透析装置のウエートを約3割から4割に高める方針。同社は「新興国のニーズを踏まえた製品づくりを進め、事業規模を広げていきたい」としている。

 同社は1955年設立。合成繊維製造装置を主力とし、01年に透析装置へ参入した。資本金3700万円。従業員約180人(パート含む)。

(2017年10月16日 更新)

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