「心筋再生医療」の臨床研究開始 岡山大病院、小児患者31人対象

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は17日、根本的な治療が心臓移植しかない「拡張型心筋症」の小児患者に対し、自身の培養した細胞を移植する「心筋再生医療」による臨床研究を本格的に始めた。子どもの心臓移植は提供者(ドナー)が少なく機会が限られる中、現状を打開する治療法になる可能性がある。

 心筋再生医療は、患者の心臓から組織の一部を採取し、心筋のもとになる「幹細胞」を取り出して培養後、カテーテル(細い管)を使い再び心臓に戻す。患者自身に由来する細胞のため、拒絶反応を起こす心配がない。同病院は既に、機能的単心室症などで臨床試験(治験)をしており、合わせて症例数を重ね、早期の保険適用を目指す。

 今回の臨床研究は、心臓の筋肉が薄くなりポンプ機能が低下する「拡張型心筋症」と診断された18歳未満の31人が対象。1例目となる女児(8)=熊本県=の治療が17日、行われた。治療前、女児の母親は「数%でも心臓の機能が回復してくれたら」と話した。

 研究責任者で同病院新医療研究開発センターの王英正教授は「心筋再生医療に手応えを感じている。移植を待ちながら亡くなってしまう子どもを何とか救いたい」としている。

 日本臓器移植ネットワークによると、2010年の改正臓器移植法で可能となった15歳未満からの臓器提供は15例(心臓は12例)にとどまっている。

(2017年10月17日 更新)

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