岡山県内で梅毒患者急増 138人 16年の3倍超、女性の増加顕著

 岡山県内で梅毒患者が急増し、今年は10月下旬までに138人に達したことが、県のまとめで分かった。現行の集計方式になった1999年以降、最多だった昨年1年間(40人)と比べ、すでに3倍以上。直近3カ月の発生割合をみても、全国で2番目に高い状況となっている。

 県によると、今年の患者数(10月29日現在)は男性106人、女性32人。年代別では20代42人、30代37人、40代40人―などとなっている。女性の増加が顕著で、昨年1年間の約4倍に跳ね上がり、10~30代が8割近くを占めている。

 国立感染症研究所の全国統計では、第3四半期(7月3日~10月1日)の人口100万人当たりの届け出数は、多い順に東京都(35・7人)、岡山県(28・1人)、大阪府(23・8人)、香川県(19・5人)、広島県(13・7人)―など。東京や大阪といった大都市だけでなく、地方にも広がっている実態がうかがえる。

 岡山県内の年間患者数をみると、2005~13年は10人未満だったが、14年21人、15年25人となり、昨年から大幅に増えている。急増の原因については特定できていないとされるが、梅毒がまん延している国からの来訪者の増加が一因との見方もある。

 梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が原因で起きる感染症。主に性行為で感染し、抗菌薬で早期に治療をすれば完治するが、放置すると心臓や脳が侵され、死亡する恐れがある。感染後3週間程度で陰部などにしこりができ、いったん消え、3カ月以上経過してから全身に発疹が出る。症状が収まる時期があるため診断・治療が遅れ、感染拡大につながりやすいという。

 県内の各保健所は、エイズウイルス(HIV)検査と併せて梅毒検査も匿名、無料で実施している。県健康推進課は「心当たりがある人はすぐ検査を受けてほしい」と呼び掛けている。

(2017年11月07日 更新)

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