岡山市が認知症対策へ登録医制度 体制づくり着手、初期対応を強化

認知症高齢者の対応強化に向けた体制づくりを議論した検討会の初会合

 岡山市は、認知症高齢者の増加を見据え、初期対応を強化するための体制づくりに乗り出した。専門医を登録する制度を創設し、地域のかかりつけ医らと協力して早期の発見や診断、支援につなげることが柱。関係者と検討会を設けて議論を重ね、9月までに医療機関などとの連携の方向性を取りまとめる。

 構想では、市独自に「認知症登録医(仮称)」制度を創設。登録医は、慢性疾患などで通院する高齢者に認知症の疑いを発見したかかりつけ医のほか、患者や家族の相談窓口となっている地域包括支援センターからの連絡を受け、診察や症状に応じた医療機関の紹介をしたり、かかりつけ医に助言したりする。登録制度によって対応の迅速化を図るとともに、専門知識を持った医師らを明確にすることで、患者や家族が認知症医療を受けやすい環境を整える。

 市内では現在、主に6カ所の地域包括支援センターで認知症の相談などに対応している。市の推計では、昨年9月時点で2万3千人の認知症高齢者が2025年には約1・5倍の3万4千人に増えると見込まれているため、医療機関などと連携して初期段階からのサポートを充実させる必要があると判断した。

 今月16日には、かかりつけ医や医師会、地域包括支援センターの関係者ら12人をメンバーとする検討会の初会合を市内で開催。市は登録医について、国の研修を修了した「認知症サポート医」(3月末時点で市内に61人)らを想定していることなどを説明した。

 出席者からは「患者の情報を共有、交換する仕組みが大切」「登録を促すには、活動に応じて報酬を支給することも必要ではないか」などの意見が出た。

 市は今後、月1回のペースで検討会を開き、登録医の役割や周知方法といった制度設計のほか、連携の在り方を詰めていく。市高齢者福祉課は「認知症高齢者への対策は急務。関係機関で連携し、患者や家族が安心して暮らせる地域づくりを進めたい」としている。

 市によると、認知症に関する自治体独自の登録医制度は、千葉県松戸市や兵庫県が設けている。

(2018年05月20日 更新)

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