避難生活アドバイス(下)体調管理 「避難所・避難生活学会」水谷嘉浩理事

水谷嘉浩理事

 避難所では被災による精神的なダメージに加え、慣れない集団生活で体調を崩しがちになる。被災者が安全に暮らせるための実践研究に取り組んでいる「避難所・避難生活学会」の水谷嘉浩理事=大阪府八尾市=に、避難所の環境整備のポイントなどを聞いた。

 避難生活は長期間にわたることが多く、QOL(生活の質)のレベルをある程度維持しないと、疲労が蓄積して体調の悪化や「災害関連死」につながる恐れがある。熊本地震では関連死が直接死の4倍強に達した。これまでに全国約300カ所の避難所を見てきたが、大半が食事は菓子パンやおにぎりなどで、良くてもコンビニ弁当。寝る場所は体育館などの床に雑魚寝というのが現状だ。

 雑魚寝が続くと、起きるのがおっくうになり心身の機能が低下する「生活不活発病」や「エコノミークラス症候群」のリスクが高まる。高齢者は特に注意が必要だ。

 その対策として、当学会は段ボールベッドの設置を推進している。テープを貼るだけで簡単に組み立てられ、寝ている状態から起き上がりやすく、床のほこりを防いで衛生的になる。振動が伝わりにくく、人がそばを通ってもぐっすり眠りやすい。段ボールの業界団体などに設計図を公開しているため、被災地の近くのメーカーから届けられる。

 床に雑魚寝という従来の避難所の景色を変えなければ関連死はなくならない。同じ姿勢を続けず、適度に体を動かしてほしい。

(2018年07月19日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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