上海の大学教授ら旭川荘で研修 認知症ケアで専門性高い人材育成

特別養護老人ホーム「旭川敬老園」で認知症の高齢者と触れ合う王教授

 社会福祉法人旭川荘(岡山市北区祇園)は、中国・上海市の大学教授らを招き、認知症ケアに関する研修会を開いている。上海市では高齢化の進行を背景に、今年から介護保険制度の本格運用がスタート。ケアの需要の高まりを受け、専門性の高い人材の育成を支援する。認知症に特化した外国人対象の研修は旭川荘では初めての試みで、29日まで続ける。

 旭川荘は1985年に上海市の視察団を受け入れたのを機に、同市との交流を始めた。2004年からは同市と江西省で介護職の養成講座を開設。日本の介護制度の解説や食事や排せつといったケアを指導するなどし、10年間で数百人の人材を育成してきた。

 今回招いたのは介護人材を育成する復旦大学看護学院副院長の王君〓教授(49)と教職員ら計8人。今年から介護保険制度の本格運用を始めた上海市が認知症対策を打ち出す中、教職員レベルで知識を深めたい同学院からの要請に応えた。

 研修は20日から10日間の日程で、日本と中国との介護の違いや認知症の症状に応じたケアなどについて学んでいる。

 23日には王教授ら4人が特別養護老人ホーム「旭川敬老園」(同所)を訪ね、職員から体の向きを変えて褥瘡(じょくそう)を防ぐポイントを聞いた。人形を抱いてもらうといった認知症の症状が落ち着く動作や環境があることも学び、高齢者と一緒にお菓子作りにも挑戦した。訪問看護・介護の現場に同行した日もあった。

 王教授は「十分な知識を持った若い職員が認知症高齢者の気持ちに寄り添いながら、家庭的な雰囲気の中で介護する様子に感銘を受けた。高齢者の人権を尊重する介護理念を大切にしている点も学び、中国での人材育成に生かしたい」と抱負を述べ、旭川荘の末光茂理事長は「共に学び合い、中国での認知症介護を発展させていく機会になれば」と話している。

〓は人ベンに趙のツクリ

(2018年08月27日 更新)

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