予防接種センター開設にあたって

接種手帳(パスポートにはさめる大きさ)を無料で発行している

 私は小児科医ですが、これまでずっと帯状疱疹(ほうしん)を研究してきました。また予防接種についても、国の研究班などで多くの方々と一緒になって研究してきました。大学では予防接種専門外来を担当し、予防接種に関する専門書も発行しています。川崎医科大学退職時に、第一線から引退することも考えましたが、これまでの研究成果を一般の皆様に還元したいという思いを抱くようになりました。そしてこのたび、予防接種センターを開設する運びとなりました。当センターは、岡山県内初の輸入ワクチンを接種できる海外渡航ワクチン外来を含めて3つの外来からなります。では「予防接種センター」の概要について説明いたします。

① 帯状疱疹予防ワクチン外来

 帯状疱疹は子どもの頃かかった水疱瘡(ぼうそう)のウイルスが治った後も神経に潜み、免疫が低下した時にそのウイルスが暴れる病気です。50歳から増加し、80歳までに3人に1人がかかるありふれた疾患です。しかし、ご存じのように、治癒したあとも痛みの強い神経痛(帯状疱疹後神経痛)を残すことがあります。

 非常に厄介なもので、ペインクリニック内科を受診することになる方もいます。残念ながら、日本ではワクチンでこの帯状疱疹を予防・軽症化できることがあまり知られていません。すでに世界では50カ国以上、米国では10年以上前から使用されています。帯状疱疹は何度も再発することがあります。なったことがない方だけでなく、なった方もご相談ください。また発症原因である免疫状態(細胞性免疫)を調べることもできます。

② 海外渡航ワクチン外来

 海外、特に途上国に行く場合、当然感染症を予防する必要があります。しかしながら、日本人はワクチンを接種せずに海外渡航し、多くの方が外国で感染しています。そして、海外から日本人はワクチンを接種して来るように非難されている状況です。東京や大阪など大都市では海外渡航のための輸入ワクチンをトラベルクリニックで接種できるのですが、これまで岡山県では接種できる病院・診療所は皆無で、県外までわざわざ行く必要がありました。これを解消できるよう、新たに海外渡航ワクチンの相談と接種、そして接種証明書を発行するように致しました。特に東南アジアなど発展途上国に行く場合には接種すべきワクチンが必ずあります。安全で快適な海外旅行ができるようにしたいと考えています。

《取り扱い輸入ワクチン》 国内承認ワクチンも取り扱っております。
・腸チフスワクチン(Typhim Vi)
・A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン(Twinrix Adult)
・コレラ経口ワクチン(Dukoral Oral)
・狂犬病ワクチン(Verorab)(狂犬病ワクチンは日本製も接種できます)
・MMRワクチン(Priorix)
※海外では使用されている安全なワクチンです
※輸入ワクチンには副作用救済制度があります。

【注意】
・ 一般にワクチンが有効となるのは接種後約2週間程度必要です。
・ ワクチンの種類によっては複数回接種が必要な場合もございます。
・ ワクチンによって異なりますが、初回接種から接種完了まで約半年かかるワクチンも あります。渡航先とおおまかな日程が決定した時点で早めの受診をお勧めします。

③ 小児科予防接種

 小児は1歳までに13本、1~2歳には5本のワクチンが注射されます。最近、どんどんワクチンの本数が増え、また同時接種するようになっています。しかしドイツやフランスなどの欧州では、1歳までの同じ種類の接種本数はわずか6本、1~2歳で2本、米国でも1歳で9本、1~2歳で2本と少ないのです。そのため、日本の子ども達はワクチンの負担が強くなっています。熱性痙攣(けいれん)のある方や予防接種で副作用の出た方、アレルギーのある方などは相談していただき、安全で痛みの少ない予防接種を実施していきたいと思っています。また複雑な接種スケジュールに漏れがないようにスムーズに接種していきます。ご相談ください。

帯状疱疹予防ワクチン外来・海外渡航ワクチン外来
●診察日程 毎週火曜日 (午後3時~5時)
●診 察 室 1階外来 (51診)
予約・お問い合わせ(0865-67-0211、月~金曜午後1時~4時)
【担当:東山】

(2018年09月27日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

医療人情報

  • 予防接種センター長  寺田 喜平
    1978年、川崎医科大卒業。井原市民病院小児科医長、同大小児科教授などを経て、2018年4月から現職。日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医。

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