体力や筋力低下 がんロコモに注意 岡山大病院・鉄永倫子医師に聞く

ロコモティブシンドロームの予防法などについて話す鉄永医師

 介護を受けたり寝たきりになったりせずに暮らせる健康寿命への注目が集まる中、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で日常生活に支障を来す「ロコモティブシンドローム(運動器症候群、略称・ロコモ)」の予防が重要視されている。最近は、がんをきっかけに運動機能が低下する「がんロコモ」という言葉も登場。「骨と関節の日」(8日)に合わせ、ロコモやその予防法について、岡山大病院整形外科助教の鉄永倫子(ともこ)医師(39)に聞いた。

 ―ロコモは予備軍を含め全国で推計4700万人いるとされる。

 運動器が弱り「歩く、立つ、座る」といった能力が下がっていく状態で、進行すると歩行障害や要介護・要支援になるケースがある。病気や加齢によって筋肉量や筋力が低下した高齢者に多く、中でも運動量が少ない女性や肥満の人は注意が必要だ。近年は運動不足などにより、小学生の子どもでも指摘されることがある。原因となる疾患は骨粗しょう症、変形性膝関節症、変形性脊椎症が挙げられる。

 ―国民の2人に1人ががんを患う時代。「がんロコモ」というキーワードを耳にするようになった。

 骨転移による病的骨折や術後の機能障害のほか、抗がん剤治療による合併症、安静期間の長期化による体力や筋力の低下で、移動機能が落ちることがある。それが「がんロコモ」だ。がんと診断されると気持ちが後ろ向きになり「動きたくない」と思うかもしれない。それも結果的にはがんロコモにつながることがある。いずれにしても、がん治療の早い段階から整形外科医も加わり、運動器の障害を予防していくことが重要だ。現時点でがんを患っていない人でも、ロコモの進行で体力や免疫力が落ち、いざというときに抗がん剤治療や手術が受けられなくなる可能性がある。ぜひ注意してほしい。

 ―予防法は。

 無理のない運動習慣を身に付けること。私は仕事の移動でもなるべく歩くようにしている。エスカレーターと階段が並んでいれば階段を使う。家でも空き時間に腹筋や背筋などのストレッチをしている。よく「病院でリハビリをしているから大丈夫」と言う人がいるが、頻度を尋ねると週1回や月1回くらい。大切なのは毎日こつこつ続けること。小さな目標設定でいいので、自分に合った運動を見つけ、日常生活に取り入れてほしい。

 ◇

 「骨と関節の日」にちなみ、岡山県整形外科勤務医会などは「がんとロコモティブシンドローム」がテーマの啓発イベントを14日午前10時~正午、岡山市北区駅元町、県医師会館三木記念ホールで開く。

 岡山大病院整形外科の尾崎敏文教授が、がんとロコモの関係について解説。同科の鉄永倫子助教が「腰痛を知ろう!!」と題して話す。足腰を鍛える体操の紹介もある。

 参加無料。先着200人。事前申し込み不要。問い合わせは同科(086―235―7273)。

(2018年10月08日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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