「カイゴ男子・女子」GPが語る 「高齢者支え続けたい」

古南真由さん(左)と荻野愼彌さん

 重労働などのマイナスイメージを背景に、人材不足に悩む介護業界。県老人福祉施設協議会は2015年度以降、会員施設(414施設)で働く若手職員の中から、業界のPR役となる「カイゴ男子・カイゴ女子」をコンテスト形式で選び、任命している。今秋の審査会でグランプリに輝いた男女2人も、福祉分野の就職ガイダンスで説明役を務めるなどの活動を予定している。介護職の魅力やPR役としての抱負などを聞いた。

 ■ 特別養護老人ホーム・倉敷シルバーセンター(倉敷市)の介護福祉士荻野愼彌さん(24)
 「素晴らしさ若い世代へ」


 ―介護職を志したきっかけは。

 大学1年のころ、病気で入院していた祖父が、たんの吸引で苦しむ姿を見たこと。高齢者が安らかに過ごせるよう支える介護職に興味を持った。障害児のケアにも関心があって大学で保育士免許を取得した後、短大の介護福祉コースで1年間学び、4月に就職した。

 ―働き始めて半年余りがたつ。

 日勤と夜勤がある週5日勤務で、要介護度3、4の人のおむつ交換や食事、入浴の介助、ベッドへの移乗などを担当している。最初は仕事の流れを覚えるのに必死だったが、相手の趣味やこだわりを把握してコミュニケーションできるようになってきた。利用者に「ありがとう」と、笑顔で言われた時にやりがいを感じる。休日も趣味のヒップホップダンスを楽しんで充実している。

 ―カイゴ男子として発信したいことは。

 団塊世代が全員75歳以上になる「2025年問題」もあり、介護職は担い手不足が深刻で、大変というイメージがあるかもしれない。でも、豊かな人生経験と知識を持つ高齢者がQOL(生活の質)を保つことができるよう支える、貴く責任のある仕事。素晴らしさを若い世代に積極的に伝えたい。

 ■ 特別養護老人ホーム・恵風荘(岡山市)の介護士古南真由さん(20)
「尊い人生に寄り添える」


 ―商業高校を卒業し、専門教育を受けずに昨春、介護の現場に飛び込んだ。

 就職後、施設が用意したテストを繰り返し受けながら専門用語などの知識を身に付ける一方、食事や入浴、排せつ介助などの実践を先輩に教わってきた。夜勤がある不規則勤務で職員も不足気味なので体調管理には特に気を付けている。うれしいこともあり、今夏、趣味のクラリネットを利用者に披露した時、涙を流して喜んでもらえた時は感激した。

 ―介護の道に進んだ理由は。

 おばあちゃん子で、足が不自由な祖母の世話をしたい思いがもとで、高齢者の介護に関心を持つようになった。進路について考えていた高校3年の夏に恵風荘を見学し、尊い人生を歩んできた高齢者一人一人に最期まで寄り添える仕事に心を打たれた。高校の先生からは「大変な仕事だ」と言われたが、思いは変わらなかった。

 ―カイゴ女子として活動するに当たっての抱負を。

 介護職に対する負のイメージから、志したとしても周りの理解が得られず悩んでいる人もいると思う。介護の魅力を広く伝え、望む人が抵抗感なく職に就くことができる環境づくりを後押ししていきたい。

(2018年12月03日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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