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第3回 倉敷中央病院 脳卒中科 外科、内科の枠超え治療

山形専院長補佐

 脳の血管が詰まったり破れる脳卒中の治療は近年、カテーテルによる血管内治療の普及や脳 梗塞 ( こうそく ) 治療薬tPAの保険適用で進歩した。これを受け脳神経外科は二〇〇五年、神経内科の医師を加えた脳卒中科を併設。同科主任部長の山形専院長補佐は「外科、内科の枠を超えベストの治療を提供できるようになった」と語る。

 どの診療科を受診すればいいか、患者や地域の医療機関に分かりやすく示すのも併設の狙い。脳卒中の入院患者は〇六年、九百四人(脳梗塞六百三十一人、脳内出血百九十九人、くも膜下出血七十四人)と開設前に比べ、ほぼ倍増したという。

 従来、力を入れている手術や投薬に加え、太ももの血管からカテーテルを入れ、くも膜下出血の原因となる動脈 瘤 ( りゅう ) をふさぐなど血管内治療は四十二例実施した。血栓を溶かすtPAは〇五年の保険適用以来、二十五人に投与。発症三時間以内などに限られ、脳梗塞患者の数%にとどまるが、「半数の患者は症状が劇的に改善した」と山形院長補佐。

 同病院の特徴は、全国有数の規模という八床の脳神経集中治療室(NCU)を備えていること。〇六年は、発症間もない脳卒中患者を中心に七百六十四人を治療した。治療効果も上がり、〇六年の脳卒中死亡率(入院患者のうち亡くなった人の割合)は5・4%と、最近五年で半減している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月05日 更新)

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