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第12回 心臓病センター榊原病院 ステントグラフト手術 吉鷹秀範副院長(心臓血管外科) 患者負担大きく軽減

ステントグラフト手術で治療実績を挙げる吉鷹副院長

 おなかの大動脈に 瘤 ( こぶ ) ができ、破裂すると致死率が高い腹部大動脈瘤はこれまで、開腹し心臓を止める大手術だった。だが、昨年、ステントグラフト(針金状の網目を縫い合わせた人工血管)手術が保険適用された。吉鷹副院長は半年間、慈恵医大、東京医大の指導を受けて十例の研修を終え、昨年十一月から独立して手術を始め、すでに三十例の治療実績を挙げている。

 画像診断で瘤の場所を確認、大きさを計測し、人工血管でカバーする区域を決める。「このプランづくりが大事」。手術は足の付け根から動脈にカテーテルを挿入、患部でステントグラフトを広げ、瘤への血液の流入を防ぎ、破裂の恐れをなくす。手術は約二時間。翌日から歩け、食事もでき、退院は三日後に可能。二十日の入院を要する開腹手術に比べ患者負担は大きく軽減する。

 心臓血管外科医のスタートは心カテーテル治療で始まり、二年間で検査、治療千例を経験。大阪の国立循環器病センターで三年間、心臓手術を習い、榊原病院で十二年間、胸部大動脈瘤手術を中心に冠動脈バイパス手術、弁膜症手術などの執刀医として活躍。その間、自作のステント付き人工血管による大動脈瘤手術で岡山県医師会学術奨励賞を受賞。「心カテーテルの経験が生きている」と言う。メッサー(執刀医)であり、カテーテル治療もできる頼もしい心臓外科医。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年04月29日 更新)

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