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第15回 おおもと病院 乳がん認定看護師 大久保茂美さん 精神面も細かくケア

乳がん看護のエキスパート大久保さん(中央)

 乳がん看護のエキスパート。二〇〇六年、日本看護協会が誕生させた「乳がん認定看護師」の第一号となった。

 乳がん治療を専門とするおおもと病院で二十年のキャリアがあり、病棟師長を務める。「乳がんの患者さんが多いことから、より専門的な勉強をする必要性を感じた」という。千葉大の認定看護師教育課程に合格。半年にわたり治療、検査、病理などを学び、国立がんセンター中央病院(東京)で実習をした。

 乳がん患者は家庭で中心的な役割を担っているケースが多い。一方、精神的に孤立し、再発への不安も抱えているという。「手術後も放射線治療、ホルモン療法、抗がん剤による化学治療が必要になると、治療期間が長くなる。よく話を聞き、精神面のケアが必要」と強調する。

 告知の際には立ち会い、動揺する患者をサポートする。病状や治療方針など、より詳しい説明が必要であれば、納得できるよう対応する。

 また、乳房を切除した場合は術後の補正下着を、化学治療の副作用で脱毛があるとカツラを紹介するなど、細かな配慮が欠かせない。「女性にとって特に脱毛はショック。小さなお子さんを抱えた場合は、『この子のために頑張るんだ』という気持ちがストレスになることもある」。治療を続けるためにも、退院後に相談ができるよう心配りをしている。

 院内で勉強会を定期的に開き、専門性の向上に努めている。「やはり早期発見、早期治療が大切。今後は検診の普及と予防にも力を入れたい」と新たな目標を示す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年05月20日 更新)

タグ: がん女性おおもと病院

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