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新型インフル 県内流行の兆し 医療機関再び警戒

患者の増加を想定して対応を話し合う岡山協立病院の医師ら=20日

 全国で3人が相次いで死亡するなど新型インフルエンザの感染拡大を受け、石井正弘知事は21日の記者会見で「県内でも流行の兆しがある」として県民に感染予防の徹底を呼び掛けた。県内の累計患者は20日午後5時現在で104人に上り、集団感染も学校の部活動を中心に13件に増加。学校が再開する9月以降の流行を懸念し、県や医療機関は再び警戒を強めている。

 21日は県議会生活環境保健福祉委員会が開かれ、委員から重症化しやすいとされる透析患者への配慮など感染拡大に備えた対応を求める声が相次いだ。委員側は啓発強化や情報公開も要請。県は手洗いの励行、症状がある場合は学校や仕事を休むこと、消毒薬の配置などの啓発に力を入れる考えを示した。

 県は26日に県教委などとの連絡会議を開き、医療関係者を集めた会議も近日中に開催する。

 流行に備え、医療機関も対策を強化し始めた。岡山協立病院(岡山市中区赤坂本町)は20日の会議で、受け付けや待合室の分離、入院が必要な患者の病床確保などを協議した。

 数日前からA型インフルエンザ患者が増えているという川崎病院(同北区中山下)は出入り口で発熱患者の確認をあらためて徹底し、簡易検査を行っており、担当医は「旅行歴のない人の感染が目立つ。県内でもまん延しつつあるのでは」と言う。産婦人科などがあるペリネイト母と子の病院(同中区倉益)は19日、専用の外来診察室を再開した。

 透析患者への対応も急務だ。落合病院(真庭市落合垂水)は、発熱のある透析患者からの感染拡大を防ぐため、近日中に通院前に自宅で検温してもらう態勢に戻す。患者団体のNPO法人県腎臓病協議会も近く、県と県医師会を交えて協議する予定で、宮本陽子事務局長は「十分な睡眠と栄養摂取など自己防衛の大切さを患者や家族に伝えたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年08月22日 更新)

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