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頭、顔変形の子ども 診療科超え適切に治療 岡山大病院センター1年余 成人後ケアも視野

患者の頭蓋骨の画像を基に作製した骨モデルを手に、治療方法を検討する小野助教

 先天的に頭部や顔が変形した子どもたちを専門的に診る岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の「小児頭蓋(ずがい)顔面形成センター」が、開設から1年余りが経過した。診療科の枠を超えた診察・治療が特長で「中四国地方では初めて」(同病院)の組織として役割を発揮。病気に苦しむ子どもや家族の期待を集めている。

 2009年2月に開設したセンターは、3科(脳神経外科、形成外科、矯正歯科)の教授、医師ら6人で構成。これまでに頭蓋骨が異常に変形する頭蓋縫合早期癒合症や脳の入るスペースや顔面、あごの骨が狭まるクルーゾン病などの小児患者約20人を診察してきた。

 重症患者に対しては頭部のCT(コンピューター断層撮影)画像を撮影し、実物大の骨モデルを作製。数回のカンファレンス(会議)を経て、適切な治療方法を探った後、6人に開頭、頭蓋骨の拡大手術などの治療を行った。

 必要に応じて小児科や耳鼻科、眼科などとも協力。歯だけでなく目、耳、鼻などの変形も並行して治療している。

 頭部の変形は胎児の成長過程で、骨が急激にくっつくなどの理由で発生し、国内では数万人に1人の割合で生まれるという。新生児は頭部がやわらかいため、生後すぐに発見できないこともあり、3カ月健診などで指摘されて気付く親も多い。中四国地方には複数の医師が協力して専門的な治療を行っている病院はなく、関東、近畿地方など遠方の病院で治療を受けるケースが多かった。

 脳神経外科の小野成紀助教は「変形が分かっても治療する病院が近隣になく、遠方に通う患者さんは少なくない。今後も病院が一体となり、患者さんの苦痛を取り除くのはもちろん、成人後までを見据えた医療を提供したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年04月20日 更新)

タグ: 子供岡山大学病院

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