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「あなたの乳房を守るために」 川崎医大付属病院椎木講師が講演   乳がん検診が大切 月1回、自分でチェックを

椎木滋雄講師

 女性がかかるがんのトップは乳がん。多くの人に関心を持ってもらおうと淳風会健康管理センター(岡山市北区大供)が11月下旬に開いた啓発イベント「淳風会ピンクリボンプロジェクト2009」で、川崎医科大付属病院乳腺甲状腺外科の椎木滋雄講師が「あなたの乳房を守るために」と題し、予防法や検診の重要性などについて話した。要旨を紹介する。

 乳がんの発生率は次のような人で高くなっている。未婚を含め子どもを産んでいない人。片方の胸に乳がんが発生した人。初潮が早く、閉経が遅い人。肥満の人。家族に乳がん患者がいる人。

 近年、乳がんにかかる人は増加し、2005年のデータで年間4万人。うち1万人が亡くなっている。計算すると、おおよそ全女性の22人に1人が乳がんに 罹患 ( りかん ) する。この会場の50人の皆さんの中にも乳がんの人がいる可能性がある。要因の一つは食事の欧米化。次に肥満。それから女性が仕事を持つなどライフスタイルの変化が挙げられる。

 乳がんの症状で一番多いのはしこりで、次に乳首からの分泌物。ミルクや水、血のようなものが出ることがある。乳首が引っ込んだり、 湿疹 ( しっしん ) が出る、はれぼったくなるなど、皮膚の異常から見つかる場合もある。

 最も大切なのは検診。がんはリンパ節や骨、肝臓などに転移する可能性もあり、早期発見が重要だ。がんが小さければ小さいほど、胸を切除しなくて済むことが多い。

 しかし、倉敷市の場合でみると、乳がん検診受診率は、多い年で16~17%。昨年は12%。これでは早期発見につながらない。倉敷市では、検診料を補助し、毎年、30歳以上は視触診、40歳以上にはそれにマンモグラフィー検診を加えて乳がん検診を受けやすい制度を設けている。ぜひ受けてほしい。

 家庭での自己検診も必要だ。タイミングは、月経が終わってから1週間くらいの間がベスト。閉経している人は月に1度、日を決めてするといい。

 鏡に向かい、手を上げ下げして乳首の変化を調べる。手で「の」の字を書くように胸を触ってしこりの有無を確認。お風呂でせっけんをつけて触るとよく分かる。寝る前にはあおむけになって触ってみる。最後に乳首をつまみ、分泌物がないかチェックする。

 食事や生活習慣の注意点もある。閉経した女性で肥満の人は、乳がん発生リスクが高いので体重管理が大切になる。アルコールと喫煙も危険因子だ。

 大豆製品は乳がんの発生リスクを低くするが、サプリメントでは取りすぎる恐れがあり、できるだけ食事で摂取した方がいい。緑黄色野菜、ベータカロテンを含むニンジンやカボチャ。サバ、サンマなどの青魚も良い。

 乳房を守るためには、まず食事と適度な運動でがんの発症を予防する体内環境を整える。次に月1回の自己検診。そして毎年の乳がん検診。異常があれば、乳腺の専門医に相談してほしい。


メモ

 乳がん検診 国の指針は40歳以上を対象に2年に1度、視触診とマンモグラフィー検診の併用だが、岡山県では30歳以上に視触診、40歳以上にはマンモグラフィー併用で毎年実施という国より精度の高い“岡山方式”を打ち出している。現在、県内全市町村が30歳以上に視触診を毎年実施。マンモグラフィー検診の併用は24市町村が40歳以上で毎年実施、岡山市は40~65歳で隔年、総社、井原市は40歳以上で隔年実施している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年12月06日 更新)

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