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抗炎症薬NSAIDs 副作用の潰瘍急増  川崎医科大 春間教授調査

春間賢教授

 主に鎮痛薬として広く処方される非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs(エヌセイズ)の副作用で胃 潰瘍 ( かいよう ) 、十二指腸潰瘍になる人が増加している。川崎医科大の春間賢教授(食道・胃腸内科)の調査によると、岡山県内でもここ数年で倍増。用途の多様化で、NSAIDsを含む薬剤を一度に複数処方されるケースが増えたことが理由とみられる。

 NSAIDsは、アスピリンやロキソプロフェンナトリウムなどの成分を含んだ十数種類が医療機関で処方されたり、市販薬にも含まれている。体内で炎症や痛みを引き起こす物質を作る酵素の働きを抑える半面、粘液や血流を増やして胃液から胃や十二指腸の粘膜を守る物質の働きも抑制してしまう。

 春間教授が2001~05年、出血性消化性潰瘍の195人を対象に調べたところ、NSAIDsが原因だったのは19%だったが、06~08年の調査(対象200人)では40%と倍増していた。

 NSAIDsは経口薬だけでなく座薬や湿布薬にも使われる。血液の凝固を抑える効果があるため、数年前から脳 梗塞 ( こうそく ) や心筋梗塞の予防薬としても使われるなど用途は広い。春間教授は「特に高齢者は1人がさまざまな疾病を抱え、NSAIDsを含んだ複数の薬を服用することが潰瘍増加の原因ではないか」と指摘する。

 潰瘍は自覚症状があまりなく、一度発症すると重症化することが多いが、胃液を抑えたり胃の粘膜を守る薬の同時使用で予防でき、内視鏡治療など対症療法も充実しているという。春間教授は「薬をのんで胃などの不調を感じたら、早めに主治医に相談してほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年06月09日 更新)

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