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第25回 岡山大病院② インプラント 日帰り、一泊入院も対応

口の中にインプラントを植える補綴科のスタッフ

窪木拓男補綴科長

山城隆矯正歯科長

 歯茎に小さなチタンの棒を埋め込み、義歯の土台とするインプラント治療。一般の開業医でも広がっているが、岡山大病院は日帰りや一泊入院での簡便な治療、矯正治療への応用など先進的な取り組みを担っている。

 通常はインプラントを植えた後、義歯を着けるまで数カ月かかるが、岡山大は事前にCT(コンピューター断層撮影)で三次元的に歯茎の状態を確認するなどの方法で、その日のうちに歯を固定できるようにした。

 植えた場所で骨の形成を早く促すため、インプラントの形状を粗くして細胞を刺激、カルシウムやリンを分泌しやすいように工夫している。感染症を防ぐ抗菌コートや複製義歯も使う。

 「歯がない状態は生活にさまざまな支障を来す。少しでも早く歯を元に戻すことが大切」と 補綴 ( ほてつ ) 科(クラウンブリッジ)の窪木拓男科長。

 骨が不足している人には、口腔外科が、あごの骨を削って移植したり、セラミックスを使って骨を再生させる治療を行う。

 矯正治療では、通常より小さいインプラントを軸にしてワイヤで歯を引っ張る。歯と歯をつないで相互に引き合う従前の治療は、引っ張る側の歯も動くデメリットがあったが、インプラントはずれがない上、これまで不可能だった方向に歯を動かせ、矯正にかかる時間も早いという。

 歯の裏側に装置を付け、ワイヤが見えないようにする矯正治療もインプラントの応用で早く効果的にできるようになったという。

 ここ五年ほどで急速に進み、同大の矯正治療の約半分を占めるインプラント。矯正歯科の山城隆科長は「今までなら手術が必要なケースでも矯正できることが多い」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年08月19日 更新)

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