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第26回 川崎医大病院② 胃がんの早期発見 春間賢教授(食道・胃腸内科) ピロリ菌検査の威力大

胃がんの早期発見を強調する春間教授

 早期の胃がんは治癒率が90%を超え、治る時代になった。問題は胃がんになりやすい人の対策。「ピロリ菌がいて胃炎の人は高リスクです」

 多くは幼少期にピロリ菌に感染、成人になり 萎縮 ( いしゅく ) 性胃炎になる。症状がなく本人は気付かない。胃酸を出す細胞が減少し、胃がんになりやすくなる。「環境因子として喫煙、塩分の取りすぎ、ストレスなどが加わり、がん発症の引き金になる」

 ピロリ菌感染は尿検査、胃酸減少、萎縮性胃炎はペプシノゲンの血液検査で分かる。感染あるいは胃酸減少が分かれば、内視鏡検査でがんの有無を確認。早期がんであれば内視鏡の粘膜下層剥離術で一時間ほどで摘出できる。「ピロリ、ペプシノゲン検査によるがん発見はレントゲン検査の二、三倍。ピロリ菌があれば抗生剤で除菌すると、がん発生は半分以下になる」

 高齢者の胃がんが増えている。「がんは加齢現象の一つ。毎年、検査を欠かさず受けてください」。日本消化器内視鏡学会指導医、日本老年病学会指導医。ペプシノゲン検査の研究で昨年、松岡良明賞受賞。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年08月26日 更新)

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