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岡山NASH研究会が発足

岡山県内の専門医や栄養士が設立した「岡山NASH研究会」の第1回研究会

 脂肪肝から自覚症状のないまま肝硬変、肝がんへ進行する NASH ( ナッシュ ) (非アルコール性脂肪肝炎)の診断・治療法を研究する岡山県内の専門医や栄養士らが「岡山NASH研究会」を発足させた。急増するNASHの危険性を知ってもらうための市民公開講座(山陽新聞社後援)を12月13日、岡山コンベンションセンター(岡山市北区駅元町)で開く。

 NASHは飲酒歴がない(アルコール摂取日量20グラム=日本酒1合程度=以下)にもかかわらず、アルコール性肝障害によく似た症状を示す。脂肪肝から肝炎を引き起こし、肝組織が線維化、 壊死 ( えし ) すると、腹水や 黄疸 ( おうだん ) が現れ、回復困難な肝硬変の状態になる。

 日本では肝炎ウイルス対策に追われ、専門医もあまり注目してこなかったが、NASHとメタボリックシンドロームの密接な関連が明らかになり、多数の患者が隠れていることが分かってきた。

 早くからNASHへの警告を発してきた川崎病院の山田剛太郎医師(前副院長)が代表世話人となり、岡山大病院の山本和秀副院長(消化器・肝臓内科教授)、川崎医大の日野啓輔教授( 肝胆膵 ( かんたんすい ) 内科)らとともに研究会設立を呼びかけた。

 今月20日に岡山市で開いた初の研究会は約110人が参加。東京女子医大の橋本悦子教授が研究の最前線について講演し、NASHを発症した小学生女児や、発がん死した30代男性の症例を取り上げ、「脂肪肝を放置しないことが何より大事」と訴えた。

 川崎病院の川中美和医師は、同病院では肝疾患の中でNASHがC型肝炎に次ぐ割合にまで急増していると報告し、県内で今後、万単位の患者が発症する可能性を指摘した。

 市民講座では、NASHに起因するとみられる肝硬変から肝臓移植に至った本紙の池本正人編集委員(月曜日付朝刊に「ケースナンバー187」連載中)が体験を話し、研究会の専門医が診断法や食事・運動療法、薬物療法について解説する。午後0時半から。無料。問い合わせは川崎病院肝臓・消化器病センター(086―225―2111)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年11月30日 更新)

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