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第47回 川崎医大病院③ 大腸がん 山下和城・消化器外科准教授 腹腔鏡手術で出血少なく

腹腔鏡手術の説明をする山下准教授

 大腸がんの手術を年間百例前後こなしている。その約40%が腹 腔 ( くう ) 鏡補助下手術。「開腹手術に比べ痛みが少なく、傷跡が目立たないし、癒着も少ない」とメリットを話す。

 モットーは「出血の少ない美しい手術」。腹部に一センチの穴を五カ所開け、病巣部を見る腹腔鏡、切除、縫い合わせをする 鉗子 ( かんし ) などを入れる。腹腔鏡は拡大鏡になっており小さな血管が全部見え、見逃さず、小まめに止血しながら切除できる。切除すべき個所と残すべき個所がある。「その中には血管の通ってない層があり、そこをたどっていけば、まったく出血しないきれいな手術が部位によっては可能」と言う。

  肛門 ( こうもん ) に近い部位のがん切除は、ケースにより人工肛門を利用するが、出来るだけ肛門機能を残し、人工肛門を作らない超低位前方切除術、内肛門括約筋切除術にも積極的に取り組み、患者の生活の質の向上を図っている。

 「技術的には肛門に大きながんがある場合以外は、ほぼ人工肛門を作らない手術は可能。ただ術前と同様に機能するかは、ケースにより異なる。技術を備え、個別対応することが外科医の使命」と言う。

 大腸がんは痛みがないので発見が遅れる。「下痢、便秘、貧血、血便などがあればすぐ検査を」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年03月23日 更新)

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