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第52回 済生会吉備病院 リハビリテーション科 家庭復帰見据え訓練 調理や洗濯も

リハビリテーション室にある台所で作業療法士(右)と料理作りに取り組む患者

 南向きの明るいフロア。広々としたリハビリテーション室(四百平方メートル)で、お年寄りらがベッドに横になって手足を曲げ伸ばししたり、歩行訓練に励む。“看板”の診療科でもあるリハビリテーション科は、患者に自立した生活を取り戻してもらうため、退院後の家庭生活を見据えたリハビリに重点を置いているのが特徴だ。

 脳 梗塞 ( こうそく ) によるまひや骨折で手足が思うように動かないなど、患者の大半が高齢者とあって、スタッフは理学療法士と作業療法士、言語聴覚士の合わせて十八人。全病院スタッフ(約九十人)の五分の一という手厚い布陣で、一日延べ百二十―百三十人にリハビリを行っている。

 リハビリテーション室の一角には、訓練用の台所も設けられている。「家事の練習を積んでおけば、自宅での生活がよりスムーズに再開できる」と高梨文恵・作業療法士。まひが残る手を動かし、包丁などの調理道具を使ってカレーや豚汁、シチュー作りに挑戦する患者も。畳を敷いた和室では、洗濯物をロープにつるしたり折りたたむ練習が行われている。

 患者の自宅訪問にも力を入れる。退院が近づいた患者宅をスタッフが訪れ、住環境を把握した上で業者と相談し、転倒防止の手すりを付けたり、段差解消といった家の改修をアドバイスしている。

 遠藤有二・技師長代理は「実際に自宅の状態を確認することで、患者や家族の話だけでは把握できなかった問題点が見える。より実生活に即した訓練ができ、家庭復帰の可能性を高められる」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年05月11日 更新)

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