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大腸がん新治療法に取り組み 岡山大病院 内視鏡ナイフ使用 大きな病変一度に切除

大腸腫瘍を内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で取り除く浦岡助教

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は大腸などの消化管にできた早期がんを、内視鏡に付けた特殊なナイフで切除する内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)に取り組んでいる。従来のスネア(輪状のワイヤ)を用いた内視鏡切除術より大きな病変を一度に取り除けるため、完全な切除と治癒が可能な新治療法として注目を集めている。

 ESDは、早期胃がんなどの治療法の一つとして保険適用されている。だが、大腸は壁が薄いことなどから技術的に難しく、入院費など一部に保険が使える先進医療となっており、同病院は昨年6月、全国初の認定施設に。光学医療診療部の浦岡俊夫助教は06年春から250を超える症例を手掛けている。

 肛門(こうもん)から内視鏡を入れて患部まで移動させ、ヒアルロン酸ナトリウム溶液で浮かせた病変を専用ナイフで取り除く。平均的な腫瘍(しゅよう)(直径約4センチ)の治療時間は1時間強で、入院も5日間程度という。

 国立がんセンター(東京)で技術を習得した浦岡助教が切除した腫瘍の最大径は11センチ。通常は外科手術が選ばれる大きさだが、ESDでは約2時間半の治療時間で完全に取り除くことができ、再発もしていないという。

 従来の内視鏡切除術で切除できる腫瘍は2センチ程度。これ以上は数回に分けるため、腫瘍を取り切れず、再発の懸念もあるという。

 浦岡助教は「早期ならば大きな腫瘍でも一度で切除でき、外科手術に比べて患者さんの肉体的、精神的な負担の軽減は大きい。技術指導などでESDの早期普及に努め、保険適用への道筋をつけたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年07月04日 更新)

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