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胃・食道がん検査 特殊補助具使い苦痛軽減 河原・岡山大病院助教が検証

岡山大病院が導入した特殊なマウスピース(左)と一般的なマウスピース

河原祥朗助教

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)光学医療診療部の河原祥朗助教は、特殊なマウスピースを使った新たな消化器内視鏡(胃カメラ)検査を導入した。口から入れる検査法としては、吐き気などによる患者の苦痛が少ないのが特徴。鼻から入れる検査法と比べても、患者や医師からの評価が高かった検証結果を5月中旬に日本消化器内視鏡学会で発表した。

 内視鏡検査はがんの早期発見などのために行う。従来の口から入れる検査法は画像は鮮明だが、舌の根元に器具が当たり、吐き気を引き起こす。一方、鼻からの検査法は苦痛は少ないが、画像が暗く鮮明でないため、病変の認識率が低く、精密検査には使えない。

 河原助教は東京の医療器具メーカーが2008年に開発した特殊なマウスピースを導入。くわえた際に舌を軽く押さえる板が付いており、内視鏡の通り口が上向きになるため、チューブが舌根に当たらない。

 検証は胃がん患者40人と食道がん患者10人を、新検査法と鼻からの検査法で半数ずつ分け、昨年10月から6カ月間実施。患者には苦痛の度合いを、医師には操作性や病変の認識率を聞いたところ、全項目で新検査法の評価が上回った。食道がんの場合、マウスピースで舌が固定されて唾液(だえき)が食道まで流れないため、視認しやすくなり認識率が向上した。

 河原助教は「従来の口、鼻からの検査法の長所を併せ持った検査法で、高解像度カメラが入るよう挿入口を広げる改良も検討中。患者さんの苦痛を少しでも和らげられるよう努めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年07月07日 更新)

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