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ウイルス製剤と放射線治療併用 がん臨床研究承認 岡山大病院

藤原俊義教授

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は12日、遺伝子治療臨床研究審査委員会を開き、同大大学院医歯薬学総合研究科の藤原俊義教授(消化器・腫瘍(しゅよう)外科学)らががん細胞だけを死滅させるウイルス製剤として開発した「テロメライシン」と放射線治療を併用した臨床研究を承認した。国の承認を経た後、治療で効果や安全性を検証、早期の実用化を目指す。

 高齢者など手術や抗がん剤治療が難しい患者への新たな治療法として期待される。

 テロメライシンは、無害化させたアデノウイルス(風邪ウイルスの一種)と細胞ががん化した時だけ活性化する遺伝子の一部を結合させたウイルス。がん細胞で急速に増え、細胞死を誘導する。2006年から米国で臨床試験を行い、一定の腫瘍縮小効果や安全性が確認されている。

 今回は、放射線で壊したがん細胞のDNA修復を、ウイルスのタンパク質がブロックする特性を持つことを確認、放射線治療との相乗効果を検証する。対象は食道がんを中心に、頭頸部(けいぶ)がん、肺がんで遠隔転移のない患者計16人。内視鏡で患部にテロメライシンを3回に分けて注入すると同時に放射線を6週間照射する。ウイルス量は3パターンで試す。

 ウイルス製剤は同大発ベンチャーのオンコリスバイオファーマ(東京)が提供。治療は消化管外科の白川靖博講師が担当し、腫瘍の縮小効果や副作用、QOL(生活の質)などを評価する。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年07月13日 更新)

タグ: がん岡山大学病院

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