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脳梗塞予防へ新治療 岡山大・赤木准教授ら 心臓壁の穴に閉鎖栓、国内発導入 血栓流入くい止め

心臓の壁に開いた卵円孔をふさぐ閉鎖栓

赤木禎治准教授

 心臓内部の壁に開いた「卵円孔」という穴を特殊な栓でふさぎ、血液の塊(血栓)が脳に運ばれて脳梗塞(こうそく)を引き起こすのを防ぐ新治療を、岡山大病院の赤木禎治准教授(循環器疾患治療部)らのグループが国内で初めて導入する。健康保険が適用されず治療費は全額自己負担となるが、脳梗塞の再発を予防する有効な治療法として確立を目指す。

 卵円孔は右心房と左心房の間にできる直径5、6ミリの穴で成人の4人に1人あるとされる。普段は閉じているが、力んだ時などに開いて静脈でできた血栓が通り抜け、脳で血管を詰まらせることがある。欧州では、脳梗塞の15〜20%が卵円孔が原因というデータがあるという。

 治療の対象は、卵円孔による脳梗塞患者。血管からカテーテルを挿入して心臓に送り込み、先端に付けた直径2ミリの閉鎖栓を穴に通して傘状に開き、壁の両側から挟んでふさぐ。閉鎖栓は、心不全などの原因となる心房中隔欠損症の治療向けで、6月に健康保険が適用された。

 岡山大は、心房中隔欠損症のカテーテル治療を年間100人程度実施しており、その手法を応用。栓は目的外使用で健康保険が適用されないため、6月末に同大倫理委員会で治療の承認を受けた。脳梗塞の治療にあたる神経内科医らと連携し、希望患者に随時行う。

 卵円孔による脳梗塞患者は30〜50代と若く、動脈硬化や高血圧などの発症リスクが少ない人に多い。従来は血液を固まりにくくする薬物治療が中心で、副作用や毎月の検査などが負担だった。閉鎖栓による治療は1時間程度で済み、薬も半年から1年で不要になるという。

 治療費は90万円程度かかるが、赤木准教授は「欧州では薬物治療に比べ再発率が半分以下になるとの効果も示されている。安全性や有効性を証明し、保険適用を目指したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年07月24日 更新)

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