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熱中症(岡山済生会総合病院 野崎哲・救急科医長) まず風通しのよい日陰や室内に避難。体温の冷却を

野崎哲・救急科医長

 体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、また体温調節の仕組みが破綻(はたん)するなどの原因で起こり、死に至る可能性があります。高温多湿の環境下でのスポーツや労働に関連して起こります。高齢者や小児、あるいは病気を持っていて体温調節能力が低下した人も温度上昇で熱中症を起こしやすいです。

 熱中症は、I度(軽症=めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、大量の発汗など、いずれも意識障害のないもの)II度(中等症=頭痛、吐き気、虚脱感など)III度(最重症=意識障害、けいれん、運動失調、高体温など)に分類されます。

 まず風通しのよい日陰やできれば冷房の効いた室内に避難させます。脱衣させ、水をかけたり氷嚢(ひょうのう)を用いるなどして体温の冷却を試みます。意識がしっかりしていれば冷たい飲み物(経口補水液、スポーツドリンク、水1リットルに食塩1〜2グラム)などを飲ませます。意識が少しでもおかしいときは口から物を与えると気道に誤嚥(ごえん)する可能性があるので与えることは避け、医療機関へ直ちに搬送してください。現場の状況がよく分かる方が付き添うと診断・治療に結びつき、有効です。気温が上昇した日や蒸し暑い日など、身体が暑さに慣れていない時に熱中症は起こります。日常の摂生、生活環境の管理、運動時は小まめな休憩と水分補給が予防に大切です。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年08月02日 更新)

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