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手足口病(岡山労災病院 寺崎智行・小児科部長) 感染経路は飛沫や接触。予防には手洗いの励行が大切

寺崎智行・小児科部長

 口腔(こうくう)粘膜、手、足などに2〜3ミリの水疱(すいほう)性発疹(ほっしん)をきたす急性ウイルス性感染症で、乳幼児を中心に主に夏季に流行するごく一般的な疾患です。高熱を呈することも少なく、基本的には予後良好な病気です。

 ただし、原因ウイルスは主にはコクサッキーウイルスA16(CA16)とエンテロウイルス71(EV71)があり、合併症も多々みられ、特にEV71に感染した場合は、中枢神経系の合併症を引き起こす重症例の多いことが知られています。10年前には台湾で、また昨年は中国で多くの脳炎の合併例が報告され、死者も続出し、マスコミを騒がせました。

 今年はわが国においても西日本地方を中心にこのEV71による手足口病が大流行の兆しを呈していて、中枢神経系の合併例も出てきており、十分な注意が必要です。

 感染経路は飛沫(ひまつ)や接触、糞口(ふんこう)感染であり、潜伏期間は3〜5日と短く、保育園や幼稚園などの乳幼児施設での感染予防は手洗いの励行と排泄(はいせつ)物の適正な処理が大切です。

 高熱が続く場合や、嘔吐(おうと)、頭痛を訴えたり、うとうと寝る状態が続き意識レベルが下った時、けいれんを起こした時は中枢神経合併症の予兆と考え、見逃さないように気を付けてください。また、子供から大人にうつる場合もまれにあるので注意が必要です。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年08月16日 更新)

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