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ピロリ菌(おおもと病院 磯崎博司院長) 胃の粘膜に生息する細菌。がん予防に投薬で除菌

磯崎博司院長

 ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素で胃酸を中和して胃の粘膜に生息している細菌です。わが国の感染者は6千万人と言われており、日本最大の感染症です。ピロリ菌が関係する病気には胃・十二指腸潰瘍(かいよう)、胃がん、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などがあります。

 現在、ピロリ菌の除菌療法の保険適応は胃・十二指腸潰瘍のみとなっていますが、胃がん予防のためにもピロリ菌感染者全体に対する保険適応の拡大が望まれます。ピロリ菌の除菌療法はプロトンポンプ阻害薬と2種類の抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシン)を1週間投薬します。これで除菌が成功する率は80%程度です。不成功の場合にはクラリスロマイシンの代わりにメトロニダゾール(抗トリコモナス薬)を用いて、さらに1週間行います(2次除菌、この間飲酒を避ける)。これで大部分の人が除菌することができます。除菌治療中は下痢、味覚異常などの副作用が見られる場合があります。また、除菌後は胃の動きが活発になり、逆流性食道炎や胃・十二指腸のただれがみられる場合がありますが軽症です。

 ピロリ菌の検査法で内視鏡を使い胃の組織を用いるものは(1)迅速ウレアーゼ試験(2)組織鏡検法(3)組織培養法、内視鏡を使わない方法には(1)尿素呼気試験(2)抗体測定(血液、尿)(3)便中抗原測定があります。

 おおもと病院(086―241―6888)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年09月06日 更新)

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