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先端医療と癒しの空間 倉敷中央病院第3棟

広いスペースを取った手術室。床は感染や事故防止のためケーブル類を排し、すっきりしている

病室は個室(約16平方メートル)と4人部屋(約36平方メートル)の2種類。4人部屋は廊下側のベッドサイドにも小窓を設けている

モネのスイレン(手前)が咲くアトリウムには、有名チェーンのコーヒーショップも

 倉敷中央病院(倉敷市美和)に完成した第3棟は、最先端の医療と癒しの空間を提供する病棟になっている。
 病棟低層階の4階までは、手術、集中治療、放射線検査などの急性期医療を行うセンターが入居。特に同医療の要となる手術センター(2階)は広々としたスペースに10室が配置され、すべてのオペ室を監視できるモニターがずらりと並ぶ。既存の施設と合わせた手術室数は23室。2013年予定の増築工事完了後は32室に増え、「全国一の規模」と同センターの米井昭智主任部長は話す。
 5~13階の病棟は、感染症対応のために病院の外から院内を通らずに直接病室へ患者を運べるエレベーターや専用の病室を各階に整備。4人部屋の病室では廊下側のベッドサイドにも小窓が設けられるなど、きめ細かく患者に配慮した設計が施されている。
 「倉敷市で最も高い建築物」(同病院)という最上階・14階の屋上は51メートルの高さ。シダレザクラなどが植樹された築山の周囲に屋根付き回廊が設けられ、そこから360度の眺望が楽しめる。市庁舎や倉敷駅周辺の市街地が見渡せ、天気のいい日には小豆島まで見えるという。
 1階には、本館にもある温室を兼ねたアトリウム(吹き抜けの中庭)がある。「フラワーガーデン」と名付けられ、中央の人工池には、フランス印象派の巨匠モネのアトリエから大原美術館に株分けされた「モネのスイレン」を移植。鮮やかな黄色い花を咲かせている。廊下には、同美術館の若手作家育成事業で創作活動を行った画家津上みゆきさんのアクリル画が並び、ガラス工芸の第一人者・舩木倭帆(しずほ)さんのステンドグラスが柔らかい光を落とす。
 治療本意、病院くさくない病院、東洋一の立派な病院-。同病院の創設者大原孫三郎の設計思想が新病棟にも引き継がれているようだ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年09月17日 更新)

タグ: 倉敷中央病院

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