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岡山赤十字病院3医師に聞く 「COPD」「心房細動」「高血圧」症状や治療法は

グラフ・喫煙が呼吸機能に与える影響

【写真左から】渡辺洋一副院長、齋藤博則医療社会事業部副部長、佐藤哲也循環器科副部長

 全身のさまざまな疾患に影響を及ぼし、時に命をも危険にさらす「COPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)」「心房細動」「高血圧」。その症状や治療法について岡山赤十字病院(岡山市北区青江)の渡辺洋一副院長(呼吸器内科)、齋藤博則医療社会事業部副部長(循環器科)、佐藤哲也循環器科副部長に尋ねた。

COPD

 「慢性気管支炎」や「肺気腫(しゅ)」など気道が狭くなって普通の呼吸が困難になる病気で、息切れや頻繁な咳(せき)が起こる。近く世界の死因第3位になると予測され、国内でも中高年男性を中心に推定患者は500万人を超える。

 渡辺副院長によると「患者の9割余が喫煙者」で、たばこが主原因。治療は禁煙を前提に気管支拡張薬などで症状を和らげる。失った肺機能は回復せず、悪化すれば日常生活に支障が出る=グラフ参照。

 息切れを加齢で片付けず、「同年代の人と歩いてついて行けないならCOPDを疑うべき」。骨粗しょう症や動脈硬化、高血圧、糖尿病などを併発しやすく、インフルエンザや肺炎になれば一気に重篤化する恐れもある。「早い対応が肝心。確実な禁煙は禁煙外来に相談を」と指摘する。

心房細動

 心臓上部の心房が不規則に収縮する。脈が乱れる不整脈の一種で、加齢に伴って増える。動悸(どうき)を訴える患者がいる一方で自覚症状のない人も多く、これ自体は致死的ではないが、「血栓ができやすく、重い脳梗塞(こうそく)になる恐れがある」と齋藤医師。長嶋茂雄・プロ野球元巨人監督も心房細動による脳梗塞だった。

 治療は心房細動のまま薬で心拍数を抑え、症状の改善を図る「レートコントロール」と、薬や電気ショックで心房細動自体の停止を試みる「リズムコントロール」が中心。脳梗塞予防には血液凝固を抑える薬「ワーファリン」を服用する。薬物治療以外ではカテーテル治療なども。

 発症後48時間以内なら血栓ができる可能性は低く、「普段から脈を測る習慣を」。脈は手首の親指付け根付近にある動脈に人さし指、中指(と薬指)を当てて測る。個人差があるが、高齢者は1分間に60〜70が目安。

高血圧

 一般に140/90mmHg以上を言う。自覚症状のないまま動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎不全などの深刻な病気をもたらす。「いわば万病のもと。異常を感じてからでは遅く、高血圧と分かったらすぐに治療を始めること」と佐藤医師。

 治療は食事療法▽運動療法▽降圧剤の服用―の3本柱。生活習慣の見直しが欠かせず、禁煙や週2日の“休肝日”の設定のほか、「しょうゆは減塩のものにし、直接掛けずに小皿に出して付ける」「週3日、20〜30分のウオーキングやサイクリングなどの有酸素運動を」と指導する。

 診察時の緊張で値が高くなる「白衣高血圧」やその逆の「仮面高血圧」、「早朝高血圧」など血圧は変動が激しく、「定期的に測定し、日常的な管理を」。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年09月20日 更新)

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