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がん診療連携パス運用 岡山県内拠点病院 専門医、かかりつけ医が情報共有 患者「治療見通せ安心」 

診療情報を記入する手帳の説明を受ける患者=岡山大病院

 がん診療連携拠点病院などでつくる「岡山県がん診療連携協議会」は、患者が専門病院で手術などを受けた後、地域のかかりつけ医で適切な治療を受けられるようにする県内統一の治療計画表「がん診療地域連携パス」をつくり、各医療機関で運用を始めた。がんの種類や治療別に必要な検査などをマニュアル化して情報共有するとともに、患者向けに診療情報を記入する手帳も作製、再発の早期発見などに役立てる。

 連携パスは、治療内容の均等化や病院の機能分化、在院日数の短縮化という流れの中で全国的に進展。2007年施行のがん対策基本法でも都道府県ごとにつくることが求められている。

 同協議会は昨年11月、パスの専門委員会を設置。罹患(りかん)者の多い胃、大腸、肺、肝臓、乳の5種類のがんでそれぞれまとめた。

 医療機関向けマニュアル以外に、患者がどこでかかってもいいように、月ごとに必要な診察、採血、検査、投薬を表にした手帳を作製。例えば胃がんの場合、赤血球の状態など調べる採血検査は通常3カ月ごとだが、再発防止用の抗がん剤治療をしている時は副作用を勘案して毎月行うように記している。

 また、腹部の張りや痛みといった再発の兆候、便通の悪さや口内炎など抗がん剤の副作用とみられる症状も紹介した。

 かかりつけの開業医の紹介で岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で9月に胃がん手術をし、手帳を受け取った50代男性は「退院したら開業医にかかるが、今後の治療の見通しが分かるので安心できる」と話していた。

 手帳は同大病院や倉敷中央病院(倉敷市美和)など県内7カ所の拠点病院で配布。今後、開業医や中小病院で周知を図っていく。

 パスをとりまとめた合地明・岡山大病院医療情報部副部長は「患者が安心できる医療には専門医と身近に相談できるかかりつけ医の両方が大切で、パスはその連携を促すもの。将来は緩和ケアなども盛り込んでいきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年10月04日 更新)

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