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予防 つまようじ法で歯垢除去

つまようじ法による歯磨き。歯間に歯ブラシの毛が入り歯垢を取る

 もりた・まなぶ 広島大付属福山高、大阪大歯学部卒。岡山大歯学部助手、米国テキサス大、ミシガン大各研究員、北海道大大学院歯学研究科教授などを経て、2008年から現職。岡山県吉備中央町出身。52歳。

 歯を失う原因の9割を占める虫歯、歯周病を防ぐ予防歯科。「歯を抜かず、削らない歯科治療を目指し、各人に応じた予防処置をする」と、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授(予防歯科学)は語る。

 虫歯や歯周病の原因は、ミュータンス菌をはじめとする口腔(こうくう)内の細菌。細菌と、細菌が糖類を材料に作る代謝物からなる歯(し)垢(こう)(プラーク)が歯の表面や歯肉との間に付着し、症状を進行させる。細菌が出す酸で歯が溶けたり、歯周病が生じたりして歯を失うのだ。

 歯垢はうがいでは除去できず、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロス(糸式ようじ)で取り除く必要がある。ここで役立つ歯磨き法が「つまようじ法」。岡山大歯学部の渡邊達夫名誉教授が考案し、歯周病の予防・治療に効果を挙げている。

 同法はまず、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に当て、上の歯は下向きに、下の歯は上向きに傾ける。そのままの角度で歯の表面を滑らせ、歯間に毛の一部を入れ歯垢を押し出す。こうして毛先を出し入れする動きを1カ所で10回程度、歯の裏側では歯ブラシの先端部を使って繰り返す。

 「歯の汚れが効果的に取れる上、歯肉がマッサージされて強くなり、歯はぐらつきが改善し長持ちする。細菌は睡眠中に繁殖するため、寝る前には歯磨きを」と森田教授。

 岡山大学病院(岡山市北区鹿田町)では、染色剤で歯垢を赤く浮かび上がらせ、歯科医師がつまようじ法を用いて除去。歯が酸で溶けない耐酸性、溶けた歯を元に戻す再石灰化の作用があるフッ素を歯に塗る。歯周病予防に禁煙指導なども行い、費用は保険適用で1回約2千円。2、3カ月ごとの受診を勧める。

 気になる口臭治療もしている。口臭の9割は口内に原因があり、嫌気性菌が作り出す揮発性硫黄化合物がにおいのもと。虫歯や歯周病だけでなく、舌の表面に嫌気性菌がたまったり、におい成分を溶かす唾液(だえき)量が少なかったりして発生する。

 対策は、舌をガーゼや専用ブラシで清掃▽水分を取る▽ガムをかむ▽洗口剤を使う―など。口臭は自分で気付かない人や、ないのに気にする人がいる中、同病院では口臭の測定器も使って対処する。「緊張や飲酒で口内が乾燥すると、におい出す。適度に会話や水分補給をしてほしい」と話す。

 岡山大学病院予防歯科の新患受け付けは月〜金曜日の午前8時半〜正午(電話予約した場合は午後1時〜3時も)。問い合わせは同科(086―235―6808)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年10月04日 更新)

タグ: 健康岡山大学病院

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