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がん細胞の目印にペプチド活用 岡山大大学院・瀧助教が新技術 PET診断精密に

瀧真清助教

 岡山大大学院自然科学研究科の瀧真清助教(化学生物学)は、がん検診をPET(陽電子放射断層撮影)で行う際、がん細胞を見つける目印として、糖の代わりにアミノ酸の化合物・ペプチドを活用する新技術を開発した。「患部の位置や大きさ、形をより精密に診断できる」としており、早期の実用を目指す。

 PETでは通常、放射性物質を付加した糖の一種を体内に投与。栄養を取り込む力の強いがん細胞が吸収した放射性物質の放つガンマ線を像に映す。しかし、糖を取り込んだ別の細胞も映るのがネックで、がん細胞だけに吸着される性質を持つペプチドの利用が期待されている。

 瀧助教は既存の天然のペプチドと天然のアミノ酸を結びつける酵素があることに注目。放射性物質を付加したアミノ酸も、この酵素や大腸菌から抽出したRNA(リボ核酸)と混ぜることでペプチドと結合できる手法を発見した。

 さらに、既存のペプチド以上にがん細胞と結合しやすい人工ペプチドの開発にも着手。がん細胞だけを破壊する分子標的薬への応用も目指している。

 瀧助教は「医学研究者との共同研究によりできるだけ早く臨床実験を行い、がんの早期診断、治療につなげたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年10月30日 更新)

タグ: がん健康岡山大学病院

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